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PLAYBACK2019_5月23日道都大-北翔大

■先発投手、3回裏に北翔大が先制

2019年5月23日の第3試合。先発は道都大・河村、北翔大は本前。序盤は北翔大が押し気味に試合を進める。大一番での先発に河村には緊張と重圧もあったか。2回までに被安打3本、迎えた3回裏、単打2本と四球で満塁のピンチ、ここで5番打者の小畑に押し出しの四球を与えて先制を許す。その後、6番の大谷を左飛、二死にこぎつけるが、続いて迎えた西川のときに牽制悪送球で2点を献上。河村は2回2/3で降板、北翔が3対0と先手を取る。

このときの両先発投手が、この後に、
千葉ロッテマリーンズでチームメイトになるとは。

■北翔大先制後、膠着状態に入る

一方の北翔大・本前は2回までは無安打、一巡した3回・先頭伊藤秀和に初安打を許すも、以降は5回に2安打、7回に1安打と8回まで散発の4安打と道都大の攻撃を封じる。道都大は河村の後を村中、櫻田、田中とつなぐ。4回以降も毎回走者を背負う展開が続く、が、安打を放つ北翔大も追加点に結びつけることができず、攻めあぐねている印象もある。両チーム無得点の膠着状態が続く。

■8回裏の攻防

8回裏、北翔大の攻撃。単打2本と四球で道都大は2死満塁のピンチ、このイニングでの失点は絶対に避けたい場面。ここでこの回途中からマウンドへ上がった小野寺が柿沼を三振に打ち取り追加点を許さない。流れを呼び込む気迫溢れるピッチングだった。リードしている北翔大が逆に追い詰められているかのように見え始める。そして同時に何かが起きそうな気配も漂い始める。

■9回表の同点劇

それでも9回2死まではすんなりと進む。4番生田目からの攻撃もあっさり二死となり、もはやここまでと思われた。しかし、ここから道都大が驚異の粘りを見せる。まず、6番松田がしぶとくセンター前へ安打。完全に詰まらされた当たりだったものの、ショートと懸命に前進してスライディングキャッチを試みたセンターの間にポトリと落とす。7番松下がライト前ヒットで続くと8番キャプテン大栗もセンター右へヒット、松田が帰って1対3。センターがファンブルする間に松下は3塁へ、大栗も2塁を陥れる。そして同点劇が訪れる。代打阿部優人がライト前に運び、松下・大栗の代走宮田が一気に生還、道都大が3対3の同点に追いつく。

結果論だが、センターのファンブルがなく走者1・2塁であれば、阿部の一打で一気に同点とはならなかったかもしれない。が、そのファンブルを誘発させたものこそが道都大が与えていた重圧なのかもしれない。もちろん、隙を見逃さなかった大栗の走塁も見事だった訳だが。

■「攻める」小野寺、11回の逆転へ

9回裏、小野寺は3者連続三振を奪って、試合は延長戦へ入る。8回裏絶体絶命のピンチ脱出以降、小野寺が円山の主役に躍り出たかのような快投。小野寺が攻めて完全に北翔大は受け身に廻ったかのように見えた。そしてクライマックスが忍び寄る。11回表、道都大の攻撃、宮田が安打(バント)で出塁、蕗が送って1死2塁。先頭に戻り、伊藤秀和はボテボテの三塁ほぼ正面への凡打。あえなくサードゴロと思いきや、サード下屋鋪からファースト小畑への送球がそれる。ボールが一塁側ファウルグラウンドを転がる間に、2塁から宮田が生還、道都大が遂に4対3と逆転。宮田は同点・逆転のホームを踏んだことになる。伊藤の打球が下屋鋪の手前でショート方向に小さくイレギュラーしたのは北翔大にとっては不運だったとしかいいようがない。その裏を小野寺が3人で締めて道都が4対3で勝利。小野寺は11回も渡邊、下屋鋪から三振を奪う勢いのある投球を最後までみせつけた。一方、北翔は最後の打者がサード下屋鋪だったのは何とも皮肉すぎる結末となってしまった。

小野寺は8回2死から登板して、11回裏まで10アウト中7つの三振を奪う冴えを見せた。中でも9回の3者連続三振は試合の主導権を完全に自軍に引き寄せる圧巻のピッチングだった。

■同点劇の口火を切ったキャプテン魂の一打

主将大栗の「開幕」は二節3戦目となる札大戦から。一節はスタメンでの出番はなかった筈。といっても、チームに不可欠なベンチからチームを力強く鼓舞する「声のスタメン」ではあったのだ。知ったふうに書いてはいるが、そのことを知ったのは後に新聞記事を読んだからである。敗色濃厚の9回表2死の場面、起死回生となる適時打を北翔大が誇るエース本前から放ったのだ。今季(2019年)リーグ戦で9回に同点に追い着き延長戦に突入となった唯一の試合。それがリーグ優勝を占う大一番で起きたのだ。そして、彼の一打は延長11回表に訪れる勝ち越しへの序奏となる。とにかく春の円山を大きく揺らした一打だったことは間違いない。

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