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クララとお日さま カズオ・イシグロ

闇の中に差す光か、光が作る闇か

第1部(要約)

『フランス人みたい』で『よく観察し、多くを学ぶAF』クララは店のショーウィンドーから通りを眺め、様々な物事を観察し『人の感情という不可解なもの』の理解につとめている。『親切で役に立つAFになるために、できるだけの準備をしたいという思い』を持って。ある日、店を訪れた『青白く痩せた女の子』ジョジーに選ばれる。

第2部(要約)

ジョジーの家で始まったクララの新たな生活。『お隣さん』リックに引き合わされ『新しい視点から物事を見るための機会』として振り返ることにもなる、向上処置を受けた子供たちの交流会にも参加。やがて計画された『モーガンの滝へのお出かけ』にジョジーが行けなくなったことがきっかけでふたりの間に生まれる溝。『あなたはわたしのAF。ってことは、いい友達ってことでしょ?』というジョジーの言葉とは裏腹に。

第3部(要約)

『モーガンの滝へのお出かけ』により差し込まれた暗い影、さらにジョジーの健康状態の悪化。病気のジョジーを案じたクララはお日さまにお願いをしようとお日さまが一日を終える間際に通過する納屋を訪れ、お日さまと約束を交わす。一方で、人間がさびしさや孤独から逃れるために、ときには、思いもよらぬ行動をとることを知り、反面、すすんで孤独を選ぶような人もいることにも驚くクララ。そんな中、用事で街へ出かける計画が持ち上がる。

第4部(要約)

街でクララは、ジョジーの『肖像画』を描いている画家、その立ち合いに訪れたジョジーの父親と引き合わされる。『肖像画』をめぐって、揺れ動くジョジーの両親。そしてクララに知らされた、クララに求められている本当の役割。一方、クララはジョジーの健康を取り戻す為に、あたためていた計画を実行へと移す。クララ自らの身を削って。

第5部(要約)

街へ遠出した後、再び衰弱が始まったジョジーを助けようと、クララは再び納屋を訪れる。お日さまに特別な助けをお願いするために。リックから「ぼくらの愛は心からのもので、永遠だ。一方が向上処置を受けてて、他方が受けていないなんて、ぼくらには関係ない。それが答えだ、クララ。」という特別なものを手に入れて。クララは納屋でお願いをする、とても若い二人が永遠に引き裂かれてしまわないように、一緒に大人の人生を送れるように、と。そして、ある朝、ついに、ジョジーの部屋に太陽の光が降り注ぐ。

第6部(要約)

お日さまはジョジーを丈夫にし、ジョジーは大人へと成長していく。やがてジョジーとリックは別々の道を進んでいくことなるが、それもいつの日か再会するための、約束の一部なのかもしれないとクララは考える。ジョジーの部屋から物置へと居場所を移したクララは、やがて、廃品置き場へと。偶然、訪れた店長さんと再会し、ジョジーとの日々を振り返る。ジョジーを『継続』できない特別な何かはあった、それはジョジーを愛する人々の中にあったのだと。

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