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札幌学生野球 アウトサイドリポート2021 063 【タンチョウリーグ:星槎道都大と亜細亜大】21年8月15日

■5月13日以来の道都大

実に久しぶりの道都大である、そして北広島ではなく、釧路にて。タンチョウリーグである。7月22日のOP戦解禁の直前にOP戦無観客開催が発表された為(新装されたホームページでの最初のお知らせがこの無観客開催告知であったのは皮肉としか言いようがない)OP戦解禁後も観戦することができなかったからである。結局、春のリーグ戦の最終戦(5月13日大谷大戦)以来、実に約2か月道都大を見ていなかったことになる。ということで、実にひさしぶりの道都大。

■この試合の位置づけ

道都大はリーグ戦開幕を8月29日に控え丁度2週間前というタイミング。ちらっとスポーツブルの配信を見直す中で『新戦力を試すという時期ではない』という主旨のコメントが聞こえてきたが、確かにその通りだと思う。先発は佐藤爽、先程書いた5月13日大谷大戦でリーグ戦初登板を果たした1年生左腕、この秋の戦力として大きな期待を寄せられての起用であろう。野手陣も春とほぼ変わらない布陣。目立った変更点は松下が打順2番に入ったことと、中堅に伊丹が入ったことくらい。いずれにしても、投手・野手ともに実戦モードの選手起用であったことは間違いないと思う。一方の亜細亜大。20秋優勝からの秋春連覇を目論んだ21年春は3位。リーグ戦開幕は9月13日。開幕まで約1か月というタイミング。開幕までの残り時間という観点だけいえば、この試合の位置づけは、両チームにとって、少し違っていたかもしれない。とはいえ、選手一人ひとりにとっては、実戦の場面がアピールの機会であること、それ自体に差はないわけであり、あらためて今回試合を振り返る中で、そのように感じるポイントがいくつか~主に亜細亜大サイドにではあるが~見えてきた。

■【試合経過】1回~3回

道都大は初回の攻撃で無死二、三塁の好機を逸すると、その裏、早々に先制を許す。無死一塁で一塁手松下が犠打に備え前進してガラ空きの一塁への牽制球で進塁を許す失策が絡んでの失点と、バタついた立ち上がり。先発の佐藤爽は制球にバラツキが目立ち、特に左打者の内角へ再三ボールが抜ける。この日与えた死球は3つ。3回裏には2四球後、犠打を併殺で防いだ後に、2点適時打を浴びるなど、どうにもリズムを作れない。

■【試合経過】3回~6回

3回裏、亜細亜大山下の2点適時打については、代打で登場した山下の気迫勝ちだったかもしれない。山下は、初回先制後、尚、二死満塁と追加点を上げる好機に凡退した松下に替わっての起用。無死一、二塁の追加点を奪う絶好機が犠打失敗に終わった直後の打席であり、自身のアピールに、またとない場面と捉えて、集中していたのではないか。実際、翌日のソフトバンク戦のスタメンに山下は三塁で名前を連ねることになる。投げては、先発の青山が道都大の攻撃を2回以降、6回まで三者凡退と完全に抑え込む。青山はこの日の最速147キロ、バットを少なくとも3本はへし折った力強い投球。さすが20年秋の最優秀防御率投手である。春は右肩を痛め開幕に間に合わなかったということで、リーグ戦もほとんど投げていないようだが、順調に回復しているのであれば、何よりである。青山は6回を投げて被安打2、無失点。

■【試合経過】7回以降

道都大は先発の佐藤が4回、5回を凌ぎ、二番手滝田が6回を無失点で切り抜けると、7回表一死後に地元出身の主砲松田が本塁打。前の打席も右翼へ大飛球を放っていて一本出そうな雰囲気はあった。これで1対3、道都大の終盤追い上げに期待が集まったが、7回裏に登板した三番手の野呂が大誤算。いきなり満塁のピンチを招くと3つ目の四球で押し出し。続く中野も流れを止められずに、スクイズなどで2失点。さらに連続死球で再び押し出し、最後は走者一掃の適時二塁打を浴びて、この回合計7失点。亜細亜大は8回にも1点を加えて11点。道都大は8回3連打と併殺崩れで2点を返すにとどまった。11対3で亜細亜大が道都大に勝利。

■さて、リーグ戦でどのような戦いを見せてくれるか

亜細亜大7回裏の7得点後、8回に挙げた追加点は代打に起用された選手の2安打による1得点。試合経過とは別に、選手個々が与えられた場面で最善を尽くすことに強く執着した結果だろう。さらに、5点目となったスクイズも含めて、亜細亜大がこの試合通じて行った犠打は5つ。得点を着実に積み上げる作法の確認にも怠りなしというところか。一方、試合経過・得点差もあるので、単純な比較はできないが道都大の犠打はなし。亜細亜大先発の青山が良すぎたこともあるが『得点できるとするならば本塁打しかなさそうだ(連打は難しそう)』という推測は、残念ながら試合途中までは的中してしまった。圧倒的な力を持つ投手と対峙した際にどのように事態を打開するかのヒントなりを掴んでいると良いのだが。いずれにしても、この日の試合含めて、道都大がタンチョウリーグで得たであろう様々な事柄がリーグ戦の戦いにどのように落とし込まれてくるのか、注目していきたいと思う。

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