夢のない夢

顔に刻まれる皴は年ごとに混雑を極めてきている。腰をさすりながら足を引きずって歩く癖がついてしまった。。
幼い子供にはまっくろくろすけが見えると言われているが、歳を取ったらとったで時に蚊でも飛んでいるかのような、また時にはネズミが足元を横切ったかのように何かの拍子に黒いぼんやりとした影が見えたりする。
肉体的にも精神的にも全ての生産性が下がっているくせに目ヤニの生産性だけは上がり、目薬を差しても5分も経たないうちにまた目ヤニがたまる。いったいにこの状況を歩留まりがいいと捉えられるのか悪いと捉えられるのか判然としない。

昼間購入しておいた塩サバを食べる前に最期を迎えなければならない無念さの中で意識が遠のいていくという、変な夢を見てしまったので寝覚めが悪い。
夢の中とは言え、人生を締めくくる段になって塩サバが食べられなかったのが無念だというのが何とも卑小だ。そのうえ、夢から覚めた際、塩サバを喰えなかったことに苦々しい思いまですることになるとは、夢だろうが現だろうがあまりにもせこい自分が情けなくなってしまった。
せこい生活をさせられている現状でせめて夢のある夢を見たいところだが、見たい夢の中までもせこいので抱く夢もせこくなってしまうのかもしれない。
まあ仕方がない。老化を極めつつある。

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