ラヴェルの交響曲を聴きたかった

先日モリス・ラヴェルの話を書いた。多様な表現で作られた管弦楽作品が魅力のラヴェルだが、交響曲は作られていない。実は交響曲を書こうとしていたという話は何かで読んだことがあるが、50歳過ぎた辺りから難病に罹り結局62歳で亡くなってしまう。
また作曲家として充実していた時期は30歳頃からおよそ15年という短い期間だったらしいことを考えるととても残念。
タラレバの話をするのはナンセンスだが、もしもっと充実した時期がもう少し長かったら交響曲が作られていたかもしれない。もっと多くの管弦楽曲が作られていたかもしれない。そう思うとラヴェルの管弦楽作品ファンとしては残念でならない。
亡くなったのは1937年。1937年のフランスではラヴェルのほかにガブリエル・ピエルネ、アルベール・ルーセルといった当時のフランスを代表する音楽家が亡くなっている。指揮者であり、シダリーズと牧羊神やラムンチョなどの管弦楽曲を残したピエルネ。
独特の作風で評価の高い四つの交響曲他いくつかの管弦楽曲を残したルーセル。産業革命前後の近代フランスでは多くのすぐれた作曲家が排出され、管弦楽好きの私は彼らの魅力あふれた作品にもう40年もの間楽しませてもらっている。
クラッシック音楽と言えばドイツ・オーストリアをイメージするが産業革命からの数十年間はフランスの音楽が独特の進化を遂げてきたように思っている。ラベルに限らず各作家たちが強烈な個性を持った作品を世に送り出し、今なお輝き続けている。
時代とともに音楽の表現方法は変わっていく。そして演奏技術も高度になり、オーケストラは専任の指揮者が置かれるようになっていく。指揮者の技術の向上とともに指揮者自身の個性も音楽表現に反映される。聴衆も好きな音楽、作曲家に加えて好きな指揮者を選択していく。時代とともにまた新しい作曲家が排出されていく。追いかけても追いかけてももう情報量の多さについていけない。
私ももう66歳。自ら情報を追っていく元気もお金もない。それだけに私の琴線に触れた音楽にたまたま出会った時の歓びは大きなものがある。クラッシック、ロック、アイドル、全ての音楽はたくさんの人の心に寄り添うものであると今更ながらに思う。

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