Base Ball Bear 全曲紹介・感想・解説 20曲目 aimai memories
推しと初お話ししていよいよ正気じゃないケンイトウです。
人生って何が起こるか、起こすか分かんないですね。
節目の20曲目、『aimai memories』です。
改めて見ると『曖昧』、『思い出』とキラーワードが並んだタイトル。
余談ですが、僕は昔『animal memories』と空目してました。
「獣の記憶」的な。意味不明すぎる。
【曲・歌詞について】
泣きコードのアルぺジオから独白ボイスからのバンドイン。
この曲も今までに無かった曲だなと。
コード感はお得意の感じですが、ここまで露骨というか、グッとくるメロってなかったなぁと。
前回の『海になりたい』がフェス向け曲の土壌であるなら、この曲のメロはアルバム『十七歳』の土壌っていう印象です。
とはいえ本当にいい意味でインディーズ感というか、渋いというか。
別に媚びてる曲ではないんですね。音楽を言語化するのって難しいな。
所謂、音楽レビュアーみたいな人ってほんとにすごいですね。
それでは歌詞へ
今でも思い出せるんだ
曲中では「嗚呼、今でも思い出せるんだ」と歌ってますね。
『HIGH COLOR TIMES』期はなんだかんだ言って「思い出」に囚われてる。
両手を器用に広げて堤防歩いてく BGM、ジムノペディ選んだ
モノクローム・セットして 君も染まって とても昔な気がする映像
ジムノペディとは・・・
『ジムノペディ』 (Gymnopédies) は、エリック・サティが1888年に作曲したピアノ独奏曲。
第1番から第3番までの3曲で構成され、それぞれに指示があり、
第1番「ゆっくりと苦しみをもって」 (Lent et douloureux)
第2番「ゆっくりと悲しさをこめて」 (Lent et triste)
第3番「ゆっくりと厳粛に」 (Lent et grave)
となっている。
ということだそうです。
正直「ジムノペディ」への曲自体の見識はまったくないのですが、そういった曲への印象から、『十二月の向日葵』の「楽譜」を抱えてる「君」とのリンクも感じます。
バンド『モノクローム・セット』とかけてると。
「モノクローム」に「縞馬柄に紛れる俺」を感じます。
でもこの曲ではそんな白黒の風景に「君」も染まってるんですよね。
雨降駅で待ちぶせの微笑み 青暗く沈んだ湖に原色
スカートひらり傘が開き 二人は隠れ、誰かに徹した
この辺りの語感のよさが気持ちいすね~
ヒップホップにも精通してるからこそだろうな。
街の隙間には君の色が覗くから
今でも思い出せるんだ
「君」と過ごした街並みから「思い出」が呼び起されると。
すげぇ思い当たる節があるな。
夕日ごと髪を梳かして揺れるせせらぎ 俺を擽って君に水平線が出来る
街の節々 オレンジの痣 消毒するように 影が伸びていった
後の『short hair』と重なる風景描写。この辺りが小出氏の原風景なんだろうな。
「オレンジの痣」ってのに思い出の傷感。
一度だけ蛹に戻りたい紋白蝶
今でも思い出せるんだ
なんで「紋白蝶」なんだろう・・・
「脱皮」に「メタモルフォーゼ」を想起してるんかな。
曖昧に変わる思い出の袖を掴んで離さない俺は、思い出主義者
この一文がすべて。
『ドッペルゲンガー・グラデュエーション』で「卒業」を歌ったものの、
「思い出」からは逃げられないわけですね。
月並みですが「思い出」っちゅう「過去」を積み重ねたから「今」があるわけで。
今でも思い出せるんだ
嗚呼、「今」はもう思い出なのか
俺はもう思い出の中
歌詞としては入ってませんが、全編通して「今でも~」の前に「あぁ」ってい叫びを歌ってるんです。
最終あえて「嗚呼」と載せることで哀愁を感じます。
「なのか」「の中」の言葉遊びでここまで意味変わるのお洒落過ぎ。
君には、思い出があるか?
男は「名前を付けて保存」、女は「上書き保存」ってよく聞きますが、
この問いかけに至る感情はそっからくるもんかなぁと。
【まとめ】
僕も「aimai memories」を追っかけがちなのでグッとくる歌詞でしたね。
それでは次回21曲目、『サテライト・タウンにて』でお会いしましょう。
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