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色恋営業に騙された女

前回は私が水商売をやっていて何よりも辛かった"色恋営業"について綴りました。

…ですが、今になって思うのは元彼・マサヤのいるサパーに通い続けてほぼ毎回ボトルを下ろし、イベントの度にシャンパンを開けていた私も彼の色恋営業に上手く引っ張られていたんだなという事。

私に恋愛感情を持っているかのような台詞は言わずキスや体の関係を交わす事もなかったものの、"昔から知っている間柄だからこそ誰よりも信頼している"とか"れいには安心して色々話せる"とか…自分が彼にとって誰よりも近い存在にいると思わせるような発言が多数。

逆にこういう事がサラッと自然に言えるのは、彼には生半可な気持ちが抜け切らない私よりもずっと大きな水商売人としての器を持っていた証拠だと振り返ってみて思います。

私、結局負けていました。いつかの"綺麗で魅力的な女になって彼を見返す"という目標はどこへ行ったのやら…こうして思い返すと私、逆に出し抜かれてしまっていました(笑)。

さて、前々回あたりからマサヤに"女の影"が…という話題に少し触れておりましたが、面倒な色恋客を切ってから程なくして女の勘が確信に変わりました。

同じ時期、失業して半年近くが経ってようやく歯科衛生士の資格を生かした職に就く事が決まりました。どうせまた在籍店でシフトを削られるだろうし、狭い街の中で繰り返す体入荒らしにも限界があるからそろそろまた正規雇用で働かなければ、と思って11月頃に昼職を決めた訳ですが…

年末年始の繁忙期に差し掛かるとこんな私でも人員的に必要な存在となり、本業キャバ嬢並みにほぼ毎日出勤して1日6〜7時間働きました。そして、帰宅してシャワーを浴びて少し仮眠してから昼職に行く日々を繰り返しました。

稼げる時に稼ぎ、忙しくしていれば彼との事で思い悩む時間も減るだろうと思ったからこそ、そして若さゆえにまだ体力的な余裕があったからこそ昼夜合わせて16連勤という怒涛のスケジュールにも屈しませんでした。

そして、ここから先の出来事は繁忙期も色恋病み期も乗り越えた頃の事です。

ある日、いつものように営業終了後にマサヤのいるサパーに飲みに行き、普段よりも閉店時間が遅くなって会計を済ませた頃には朝7時を迎えていたので、久々に朝食アフターに行けるかな?と期待していました。

ところが、支払いを終えた私を見てマサヤが「そろそろ出ようか?今日もありがとね」とあっさり帰すような言葉をかけてきました。"あれ?今日はご飯行けないのか…この後も何か予定あるのかな…"と思いながら私の他に店内に残っていた客の席を見ると、一人で飲みに来ている女の子の姿がありました。

以前から"あの子マサヤとすごく仲良さげだなぁ"と気になっていた子で、何度も地元のナイト系情報誌に掲載されていたのですぐに顔と"結女ちゃん"という源氏名で一致しました。

"もしかして今日は結女ちゃんと一緒にどこか行くつもりなのかな?"という勘が働き、先にサパー店を出て帰る素振りを見せつつ、向かいの路地裏に隠れて二人の様子を伺う事に。

その時、肩を並べて店から出てきた二人が一緒にタクシーに乗り込む姿を目撃。私もすかさず近くを走っていたタクシーを拾って二人の後を追いました(笑)。

着いたのは結女ちゃんが借りていると思われるマンション。しかも、私が住む家とは大通りを挟んで反対側にあり、恐らくお互いの自宅までの距離は数100m程度。

"マサヤ、店の寮に入ってるって言ってたじゃん…トシさん(以前UPした記事に何度か登場しているサパー店の坊主の従業員)達もなんで私にマサヤと結女ちゃんの事教えてくれなかったの…?みんなして私の事騙してたの?"

その時はこんな身が切れそうな思いを抱いていましたが…いやいや、それはキャバクラで女の子同士のプライベートな話を客の前で勝手に話しちゃいけないっていうのと同じ事だからねwww(今の自分から昔の自分へツッコミ)

何も気づけなかった自分にショックを受けました。いや、二人の妙に仲睦まじい姿を見る度に薄々感づいてはいましたが、自分の思い違いであってほしいと心の底で願っていました。

それでも、1つ点と点が結ばれれば後は次々と結びつくように簡単に答え合わせができました。結女ちゃんの営業用と個人用とで分けたブログを見つけ、その内容を照らし合わせてどちらも間違いなくマサヤの事を書いている(もちろん営業用ブログでは婉曲的な表現を使っている)と気づきました。

ブログの過去記事を探り、二人は2〜3ヶ月前に交際を始め、やがてマサヤが結女ちゃんの住む部屋に転がり込むようになって同棲が始まったという事も判明。

更に、夜職繋がりの友人から結女ちゃんについて知っている情報を聞き出した所、私が働くV店からも距離の近いS店という所に在籍し、同じ店に勤務するお姉さんに次ぐNo.2だという事も判明しました。

私、彼女に勝てる要素が何もない。

強いて言えば私の方が痩せているって事くらい…?(苦笑)

昔も今と変わらずビジュアルにはまったく自信がなく、せめて体型だけは綺麗でいたいと思っており、当時は158cm×40kgをキープしていました。本当に自分に対して胸を張って言える事ってこれしかありません…

こうして過去と今の自分を切り離して客観的に見てみると、私は上手いこと色恋営業にハマっていたただの痛い女だったのです。

彼はホストじゃないから。彼の店は指名制じゃないから。枕営業もされていないから…

自分の中で色々と理由をつけて私は色営なんかされていない!と自身に言い聞かせていましたが、実際は完全に彼に主導権を握られて掌で上手く扱われていました。

確かに別れてから一度も体の関係こそ持たなかったものの、相手が酔った勢い(のつもり)で抱きしめてくる事は何度かありました。その度にキュンキュンしてしまう自分がいたし、もしかしたら復縁も期待して良いのかな?と考える事もありました。

彼が今までにかけてくれた優しい言葉もあの行動も全部嘘だったのかな…?

もう、その場では悔しいとか悲しいとかの感情を通り越して何も考えられなくなりました。

***

今回も長くなってしまってすみません。

後々また話しますがその後も彼との交流はあり、今でも年に数回連絡を取る事はあります。ただ、結論から言うと結局私達は二度と結ばれる事がなかったので、彼の言動が本当に全部嘘だったのか本音もきちんと含まれているのか…真意は今でも彼本人にしかわかりません。

そんな過去の経験もあり、私は今でも他人をどこまで信用して良いのかわかりません。そして今でもなるべく傷つかずに生きたくて、たとえどんなに親しい間柄の人であってもそれなりの距離を置くようになりました。

私が水商売を経験して一番失ったと思うのはお金でもなく信用でもなく、純粋に人を信じる心だと思います。なんか悲しいね。

次回、こんな私が遂にNo.1を目指す!?というエピソードを綴りたいと思います。田舎のヘタレキャバ嬢は上を目指せるんでしょうか?(笑)

時間が取れたら明日また更新します。

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