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雲と白線 ー笑う膝 1ー

春の陽気に誘われ散歩。

朝―雨、昼-春、夜-冬。天気予報のキャスターがそんなことを言っていた。

昼食を済ませ、13時ころから近所のいつものコースの一つを、妻と二人で歩き始めた。約一時間ほど歩いていたらほんのりと汗ばんできた。マフラーを取り、上着の前のファスナーを開け、人のいない道ではマスクを顎にずらす。「北風と太陽みたいだね」などとつまらない話をポツリポツリと妻と続けながら。

家のすぐ近くのホームセンターでちょっと花を見て、駐車場を通って家までもう一歩。その駐車場から見た空に大きな雲。上空は風が強いみたいでゆっくりと動いていた。住宅街の上を覆いつくすような雲。なんてことないことないのだが、何だか妻と二人でその風景を楽しんだ。

ふと下を見ると、駐車場にひかれた白線。ひび割れ、かなり薄くなったそのコントラスト。やたらに光が眩しく感じられる老いぼれた眼には、上空の雲とシンクロした。

「この白線、あの雲みたいにみえないか?」

「ぜんぜんそんなことないよ!」

軽くあしらわれてしまった。

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