七月末、午後八時を回ったくらい。学校からの帰り道。自転車を引きながら、君の隣を歩く。雨上がりだったから湿気と汗で肌がベタつく。送電線のジーっという音と、時々カエルの鳴き声と、それと君と僕の足音だけが、あたりに響いている。そっと、生ぬるい風が足元から頬を抜けたから、君は空を見上げたんだ。