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「人も経済も死なせない」#TMJP2020 のメンバーに聞いて来た、afterコロナに見える希望

 2020年4月16日。たぶん、今の時代を生きる私たちはこの日の衝撃を忘れないだろう。いかに人類の歴史が疫病との戦いと共にあったとしても、インフルエンザが死の病だった時代はとうに過ぎ、天然痘は根絶されて久しい世の中。まさかコロナウイルスの脅威が、ここまで大きくなると誰が予想しただろうか。

 残念ながら日本人が心待ちにしていた東京オリンピックは延期になった。飲食店や小売店は緊急事態宣言の最中大きな打撃を受け、愛する人や居場所を失った人々、生活が苦しくなった人々の苦しみの声が日々聞こえる――そんな中で発足したのが #TMJP2020 こと、チームジャパン2020プロジェクトである。

「withコロナ時代の消費の現場を応援するために、本来東京オリンピックの開会式はずだった7/24に、みんなで一体感を持って新しい時代に夢を描き直す”夢の開会式”をやりたいんです。Ayanaさん、力を貸してください!」

 そう連絡をくれたのは、株式会社フェズのクリエイティブ・ディレクターであり、このプロジェクトの呼びかけ人である堤さん。今日はこのプロジェクトの呼びかけ人である堤さんと、TMJP2020をつくるメンバーの皆さんにお話を聞いて来た。

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「『安全な消費』で、日本を元気に。」その願いからうまれた、夢の開会式


 堤さんが務める株式会社フェズのミッションは、「『消費』そして『地域』を元気にする」。私たちは生きている限り、消費(小売、メーカーの人々も、それらを買う私たちも)を続ける。そして、地域(自分たちの暮らしで利用する生活圏内)と影響し合う。

 そんな消費の現場と地域を活性化していくことが、多くの人々の豊かな生活を支える、というのが同社のミッションだ。

「コロナになったタイミングで、私自身、自社のミッションについて深く考えるきっかけがあったんです。いきなり飲食店が営業できなくなったり、イベントをやっている方の仕事がなくなったり……。消費に元気が無くなって、って感じたんです」(堤さん)

 そういえば、私が暮らしている場所の近くでも、いくつかの飲食店が廃業を余儀なくされていた。コロナの影響は、私たちの生活圏に及んでいる。一方で、闇雲に消費を煽ることも”三密を避ける”原則に反してしまい、人の健康が守れない。最近では自粛解除後に、また東京での感染者が増えているという話もある。GO TOキャンペーンなど議論が巻き起こるなど、まさに「消費」と「安全」のどちらかだけの議論ではアクセルとブレーキを同時にかけている状態になってしまう。

「だからこそ、経済も人も死なないで何かアクションが起こせないかと思ったんです。そこから始まったのが、TMJP2020プロジェクトでした。フェズの場合は、支援する消費の現場はメーカーさん、小売さんが中心です。まずこのプロジェクトは、社内外のデザイナーの有志で部活動的に始まったものです。そしてすぐに、伊丹社長、赤尾副社長、林取締役などをはじめとしたフェズの経営陣の応援もあり、社内公認のプロジェクトとして小売業界や飲食店向けに「安全な消費」を啓蒙するポスターを貼っていくアクションをスタートしました。しかし実際にポスターを呼びかけながらリアルな声を聞いていくと、単にポスターを作るだけでは解決しない様々な課題が見えてきました」(堤さん)

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 テイクアウト、デリバリー。今では一見当たり前に私たちも享受しているが、コロナ禍の苦肉の策、新しい取り組みとしてはじめた飲食店も多い。

「例えば単にお店の人にとっては確かにポスターもありがたいのですが、そもそもそれ以前の「安全な消費」を実現するためには、現場のリアルな悩みや課題がシェアされていないという「課題」そのものの共有。SNSをどう発進すべきか?などスキル面での課題、モヤモヤして行動に移せないというマインドセットの課題などが見えてきました。

 また「消費の現場」で困っているのは、小売業界や飲食業界だけでなく、イベントも、観光、教育、多くの業界に共通して起きていること。そして当時はまだ給付金や寄附金の議論などばかりで、知恵をシェアするアクションが広がっていませんでした。これは老子の『魚と釣り方』の話にあるように、困ってる人に給付金や寄付を与えるアプローチだけではずっと魚を与え続けなくてはいけません。であれば『安全な消費』を実現するための『釣り方』を共に考え、生み出し、伝えていけばいい」(堤さん)

 プロジェクト開始直後から、そのような思いが根底にあったそうだ。いろいろな業界や地域の枠を超えて、想いに賛同する企業・個人が集まって知恵をシェアしあう、”チーム”になることで何か新しいイノベーションが起きるのではないか、と発想。そこから、フェズ社内だけのアクションに閉じるのではなく、様々な業界・企業間で連帯して起こすオープンなソーシャルアクションに発展に発展させていこうと決意する。

 そうした呼びかけで始まったのが、多くの業種・様々な分野のプロフェッショナルや熱い想いを持つ人々が有志で集まりつつあるTMJP2020。消費の現場を応援し、これからの時代に持続可能な「安全な消費」の実現について共に考え、実現目指していく。
 
 安全な消費をデザインの視点で啓蒙し応援する TMJP_Designチーム。消費の現場から学び、これからの時代を生き抜くための「生産性」を爆発させるスキルセットや、消費の現場で働く人自らが変革していくための「自助成長」マインドセットを学ぶため、様々な業界のプロフェッショナルが講義を行う、TMJP_Schoolチーム。一歩踏み出すため、コロナで閉塞した心のもやもやをコーチングで晴らしていくTMJP_Coachingチーム。そして、挑戦するための仲間を見つけるためのTMJP_Findチーム

 そしてこれらの活動の発表の場であり、幻の開会式で終わらせず、コロナ以後の新しい時代に一人一人が新しい夢を描き直すスタートとなるのが7/24のTMJP_Fes、#夢の開会式 である。

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コロナで私たちの行動範囲は本当に狭まったのか?

 TMJP2020を動かすメンバーの皆さんに、突然のインタビュー依頼。お昼時にも関わらず、10名以上のメンバーが集まってくれた。

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 withコロナと言われるようになってからしばらく、多くの人が「行動範囲が狭まった」と感じ、多かれ少なかれストレスを感じている。そのなかで一体どのようなアクションが取れるのだろうか?

今回のTMJP_Fesの企画のキープレやーであり、at HOME Fesの主催にも携わったマギーさん(写真3段目左)は、こう答える。

「行動が狭まったのではなく、行動の仕方が変わった、と思えばいいんだと思いますよ。例えば僕自身、長野県の根羽村というところに住みながら、村づくりをして暮らしています。コロナの脅威が現れてからは、東京への出張は確かに減りました。でも、逆に関わる人数や範囲は増えているんですよね」(マギーさん:株式会社WHERE/ 長野県根羽村地域おこし企業人)

 マギーさんが運営に携わったat HOME Fesは、”Stay home, Make future”というテーマで行ったオンラインの24時間テレビ。家の中にこもって大人しくしないといけないという固定概念のなかで行われた画期的なイベントだった。家にいても楽しめる!という空気をオンライン上に作り上げた、といっても過言では無い。

 実は呼びかけ人の堤さんも、この試みに心を打たれ、STAY HOMEの先のアクションを見出すべく、TMJP2020のプロジェクトの中に、TMJP2020のTMJP_FESプロジェクトが誕生した。まさにat HOME Fesからの超えた想いのリレーがつながった瞬間だった。

 また今回のTMJP_FESを共に企画している、at HOME fes実行委員長であり、㈱CRAZY執行役員の吉田勇佑さんからは「24時間WEBテレビを10日で実現したatHOMEfesと、TEAM JAPANさん。近しい志を持つ二つの団体が、異なる強みを活かしあいコラボし、未来への節目を創れたらと願っています!」というメッセージをいただいた。

 さらにTMJP_Schoolで講師を勤め、今回のTMJP_FESの企画を推進するヒヨウララボの寺田さんは「個々の事業者が生産性を高めたり、ビジネス変革を起こすノウハウを持っていないことが1番の課題。そこに対して将来に対する様々なソリューションを提案したい。世代・職種・業種などを越えたネットワークを広げることによるCo-Creationこそ大切が大事」だと語る。

 今回コロナで打撃の大きかった美容業界で120年続く理・美容室を経営する久田さん(写真4段目右)は、コロナを通して「お客様が本当に求めているものとは何か?」を考え直す機会になったという。

「今はお客様からの髪の相談、カウンセリングを主にやっています。そこで聞くんですが……美容室に行ってカラーやブリーチをしていたから痛んでいた髪が、逆に美容室に行かなくなって綺麗になったっていうんですよ。確かに今までの行動が変わるのは不便かもしれないけれど、逆に制限によって新しい見方も生まれて来た。美容院はお客様を綺麗にする場所。でも、美容院に来れば来るほど髪が傷む……逆にこのジレンマに気づき、追い風にできたのはコロナが来てからなのかもしれません」(久田さん)

リモートワークで「失ったもの」「得たもの」

 私の勤めるHeaR株式会社は、3月ごろからリモートワークを本格導入した。いままでの仲間と集まれなくなることに最初は危機感があったものの、順調にオンラインでも文化とチームワークを育んでいる。ただ、そのような会社ばかりでは無いことも事実だ。つながりが希薄になり、帰属意識が減ったり、一人でいることで鬱傾向が現れた人も多いという。

 TMJP2020にコーチングの文脈で関わるこっちゃんさん(写真4段目中央)、Jimmyさん(写真5段目)に、「リモートワークで失ったものってありますか?」と尋ねてみた。

「正直私は思いつかないです。得たものの方が多いかな。自分がいいな、好きだなと思う人やものとの時間が増えました。そとからの情報量って膨大で、価値観が固まっていないうちに情報だけ入れると疲れてしまうんです。逆に上手にシャットダウンできて、自分のやりたいことに向き合えました」(こっちゃんさん)
「僕も、有料のコーチングセッションを始めたのが5月頭。リモートワークによってもやもやを抱えた人たちとお話しすることが増えていきました。でもこの時、家から出られないからこそ本当にやりたい”コーチング”に向き合い、学ぶことができるようになったんです。むしろ、リモートワークが始まったことで自分の働きやすいやり方に合わせることができる人が増えたのでは無いでしょうか」(Jimmyさん)

 また今回ガイアックス で「オンライン就活」事業を行っている菅さんはTMJP_Schoolでも講義を行う中で「オンラインが当たり前になることで、オフラインの価値は高まると思います。オンラインの利便性とオフラインの特別感をどのように融合させるかが大事だと感じています。」と語る。また菅さんはコーチングの文脈でも賛同し、菅さん自身が経営に関わるZaPASSのコーチの有志たちによるプロジェクトも生まれてきた。

 それがTMJP_Coachingだ。多くのプロコーチに賛同いただき、「消費の現場」を応援するために、コーチングを通して新しいことにチャレンジしたい人たちも応援している。

 TMJP_CoachingやTMJP_FindなどTMJP2020のプロジェクトに初期から深く携わってきた岡田さん(写真3段目中央)は、コーチングを通して人々の中に溜まったエネルギーを感じているという。

「コロナをきっかけに、良くも悪くも人々の中にエネルギーが溜まっています。家にいるしかない中で、何かをしたい、でも自分に一体何ができるのか……と思っている人が増えているんですね。そういうエネルギーが、不満や怒りになって出てきてしまうのはもったいない。なので、コーチングを通してそういう気持ちの整理をつけ、良いものとしてアウトプットするためのお手伝いをしています」(岡田さん)

 さらに、そのエネルギーを大きなプロジェクトとして成り立たせるために、TMJP_Findにも価値が見いだせる。CoFind代表であり今回のTMJP_FIndを推進する井上さん(写真2段目左)は、このように語る。

「スクールで何かがやりたいってなったり、コーチングで自分のエネルギーの良いアウトプット先が見つかった時、何かをやるための仲間が欲しくなります。そんな時にもマッチングで支援できるように、TMJPファインドはあるんですよ。新しいソーシャルムーブメントを、ここから起こして大きくしていきたいですね」(井上さん)

安全な消費の未来、そこに見出される希望の形

 それぞれが日本の未来や人々の思いに寄り添う形で生まれたプロジェクト。TMJP2020にかける想いを伺った。

「飲食小売業に携わりながらコーチングを行うものとして……今、飲食の人たちを取り巻く”なんで私がお店に立たなくちゃいけないのか”、”怖い”という気持ちって、かなり辛いものがあるんです。でも誰もそれに寄り添って来れなかったら、消費の幸せな未来は完成しません。苦しみや不満をぶちまけ、次に活かす機会が必ず必要だと思っています。消費の現場を応援することって、不安やモヤモヤを聞いて、言語化して、その上で挑戦を支えていくことだと思うんです」(本橋さん、写真二段目中央)
「私はミャンマーで暮らしていて、コロナをきっかけに国を跨いだ移動がどれだけ厳しくなったか痛感しています。ビジネスチャンスもそれだけ減り、資金調達を止めたり、いままでのビジネスを縮小した人たちも多いんです。”大丈夫だよ”といいつつも、みんな不安を抱えている。オンラインでの繋がりを持って、そういった不安に向き合いポジティブな力に変えていきたいですね」(桂川さん、写真二段目右)
「TMJP2020のサポートとして、エンジニアの視点から技術の部分をサポートしています。このプロジェクトが堤さん起因でフェズ社内から始まって、その後色々な人が参加していくのをみて心からすごいな、と思いました。求められているからこそ大きくなってきたTMJP2020、ソーシャルなプラットフォームとして、日本や皆さんの未来の役に立っていったらいいな、と思っています」(荒川さん、写真三段目右)
「コロナは、自分にとって本当に大切なものは何か? 命をどう使いたいのか?そんなことを考えるきっかけになったと思います。私は経営者の方などへのコーチングを行っていますが、今まで一部の人にしか提供できなかったものを多くの人に提供できる機会と思って頑張っています。コーチという役割から、社会や世界に対する価値を作り描いていく人たちと一緒に、良い未来を作りたいですね」(笠松さん、写真四段目左)
「わたしの経営者仲間たちが、コロナの影響で苦しんでいるのを身近で見ていて。一人でサポートできることって、本当に少ないなと実感しました。わたし自身が何か力になるために、仲間が必要だと思ったんです。そのときに堤さんに声を掛けてもらって、わたしにできることがあれば...と。自分の得意分野をいかして、TMJP CoachingやFesのオペレーションを担当させてもらっています。色んな人の力を終結して、苦しんでいる人たちの力になればいいな、と思いますね」(高木さん、経営者)
「TMJP2020で初めてソーシャルアクションという活動に携わりました。メンバーがいない状況で始まったプロジェクトが日に日に大きくなる過程を見ることができたのはとても良い経験になりました。当初抱いていた「こんなことをやってみたい」というたくさんのアイデアは実現するに至らないことが多いですが、なぜ始めることができないのか、途中で止めることになるのか、その要素分解ができたのは今後の自身の振る舞いを考える上でとても学びになりました。自分の限られたリソースの中で、やるやらないの判断力と、やるならやり抜くための想定力を上げ続けながら引き続きこのプロジェクトと向き合っていきます。」
(山野さん@チーフ・デザイナー:フェズ)

 堤さんたち有志メンバーは、2ヶ月以上TMJP2020の拡大と実現に向けて奔走してきた。そのなかで、堤さんはこれからの未来の価値観をこのように語る。

「これまでの日本は”競争”社会でした。個人も会社も、競い合ってMade in Japanを作り上げてきた。でもこれからの時代は、このチームの名前である Team in Japanが重視されるんです。競争は、共創へ。多くの人が繋がり、一緒になって取り組むことで新しい価値やアクションは生まれていきます。いわばみんなが当事者意識を持って『志のアスリート』になれれば、日本は一つのチームになれる。団結してイノベーションをおこし、時に業界を超えて課題を知恵をシェアすることで、きっと持続可能な『安全な消費』の実現できると信じています。今回のTMJP2020の取り組みが未来をよくするきっかけとなっていくことを願っています」(堤さん)

 コロナの第二波が来るか、来ないかの瀬戸際。日本にはまだ、経済にも個人にも閉塞感が漂っている。しかし、良いエネルギーを生んでいかなければ待っているのは”経済の死”か”人の死”か。そんなことは絶対に避けたい。TMJP2020の皆さんの強い希望とエネルギーを感じた。

 今後、TMJP2020は 7月24日の #夢の開会式 にむけて、様々なアクションを起こして行く。TMJP2020への賛同や参加を示す、Twitterアイコンデコの配信(https://icondecotter.jp/detail.php?id=60539 )、これを取材しているHeaR株式会社のメンバーによるSNS拡散、また、多くの人から #コロナで私が気づいたこと #オフラインで生まれたつながり #ニューノーマル時代に描く新しい夢 などのテーマでの寄稿を公に募集して行く。

 今私たちは、私たちができることからソーシャルアクションを起こしていかないといけない。社会や未来を作るものとして、できることに向き合い続ける必要がある。

 まずは7/24の#夢の開会式 。TMJP_Fesの詳細についてはまさに有志メンバーが急ピッチで詳細を企画中であり、今後の情報は下記のHPやFACEBOOKグループなどに登録してチェックしてほしい。この夢の開会式 をきっかけに、新しい夢を描き、新しい一歩を踏み出してはいかがだろうか。

TMJP2020公式サイト:

https://sites.google.com/view/tmjp2020/


TMJP2020公式YouTubeチャンネル:

https://www.youtube.com/channel/UC9s3HmlbvR-DQXPEULo00jA

TMJP2020 公式FACEBOOKグループ:

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