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女性の下着が欲しいか?

ニュースで見かける下着ドロには成れないなと思う。広い体育館みたいなところに盗んだ下着が何百点と並べられ「あれ、警察官が並べるんだな。警察も変態だな」とか思ってニュースを見たのを思い出す。別に警察は仕事で並べてるだけなんだけど、碁盤の目のようにきれいに並べる執念って変態でしょうって思った。

女性の下着欲しいか、と問われると、男は2つの派閥に分かれる。「好きだ。欲しい」派と、「布がなぜ欲しいのか?」派だ。私は後者だし、後者の友達しかいなかった。そして出た結論が「前者のみが下着ドロをするのではないか」ということだった。

中学生の時、一番仲良かった友達が(こいつとは高校も大学まで一緒になった)自分と同じでエロいものに飢えていた。どうにかしてエロ本を書店で買う方法を二人で語り合い、次の週には「手に入れたぜ」と自慢しに来たりする友達だった。こいつと二人でエロ本が落ちてないか探し回ったことすらある。そんな彼から「パンティが大量に落ちていたから隠しておいた」と連絡が入った。

今考えると、そこは高校の寮の近くだったので、たぶん、下着ドロが集めていた下着の隠し場所を友達が偶然に見つけてしまったのではないか、とか思っている。屋外で、何かの下に隠されていた大量の(買い物袋にいっぱいくらいの枚数だった)パンティを、そのまま彼は自分の隠し場所へと移動させていた。私達二人は「おお~っ」と歓声を上げながら1枚1枚見ていた。

しかし、お互いにエロ本のような興奮はなかった。確かに珍しいものではあったが「布」なのだ。もしかしたら「新品」もしかしたら「洗濯後」の「布」なのだ。その「布」に感情移入できなかったのだ。

好きな女子(中学生だったのでお互いに好きな女子がいたが)の下着だったら欲しいか、という話になって「欲しい」と思ったが、「いや、違う」ということになった。私達は、どこまでも「布」にエロさを感じない生物だったのだ。

好きな女子が履いていて、今まさに脱ぎたてのパンティであれば、きっと私達も胸をときめかせただろう。しかし、それが担保されない「布」では私達中学生男子の心を動かすことはできなかった。そして、それは今も続いている。

下着ドロは特殊だ。「布」に心を動かせるだけの想像力がある、特殊能力の持ち主とすら呼べよう。そして、そんな特殊能力のない私には下着ドロは無理だ。

というわけで下着ドロについては、罰を受けてもらう以外に、どういう想像力でこうなったのか聞き取ってもらうことを警察に提案したい。あの、体育館みたいな広いところに大量の下着を並べる業務と引き換えに。どういうことを思って、「布」を価値あるものに変化させたのか、すごく知りたいのだ。そこへの好奇心は、中学生の頃から変わらずにある。

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