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緊急事態管理を考える:第6回新型インフルエンザ等対策推進会議

表記件、本日第6回目が開催されました。


本日の概要

本日は、
・「新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定に向けた意見」(案)  
  (という名の「中間取りまとめ」)の骨子
・『「対策の主要項目の方向性」(各論)の検討について』
の資料説明がありました。
本日の会議では、主に緊急事態管理についてコメントさせていただきました。
資料等はこちら↓

緊急事態管理について

緊急事態管理についてこれまでの議論であまり出てこなかった話題なので気になっており、行動計画改定の中でぜひ議論しておくべきと考えました。行動計画の項目の中では「実施体制」の一つと言えるでしょう。
これまでの議論の中でも、パンデミックが発生した際に、統括庁が司令塔になる、そして、国と都道府県の情報共有、連携強化、そして、都道府県や保健所では速やかに全庁体制に移行できるようにすべき、という指摘がありました。一方で、ではこの統括庁と各省庁、そして国と自治体、自治体の各部署、それぞれがどのような仕組みで情報共有し、連携し、そしてときに人材を送って相互支援するのか、というシステムについては、詳細な議論がありませんでした。それぞれ対策本部を立てる、ということまでは決まっているものの、その先の詳細について、たとえば、対策本部にどのような組織を作って、どのように運営するか、といったオペレーションの視点ではあまり議論されていなかったと感じていました。

オペレーションに共通の型を

特に、今後政府行動計画の内容が、都道府県・市町村の行動計画、指定公共機関の業務計画等に影響していくことを考えれば、政府行動計画の中で、緊急事態管理について共通の言語(たとえば言葉遣いや用語とか)、や、共通のオペレーションの考え方を形成しておく必要があるでしょう。
具体的には、
・ 情報のマネジメント
・ 物資のマネジメント
・ 人材のマネジメント
をどのような組織図の組織体制で行うか、そしてその組織図を縦と横にどのようにつなげていくか、といったところが重要です。特に、今回の一連の議論でもサージキャパシティという言葉が何度か出てきましたが、基本的な緊急事態管理のシステムが、多くの人に理解され、実践されることで、もともと担当でない人や、外部の人材の協力を得ること、あるいは組織間で相互に支援をすることが容易になり、「サージキャパシティ」を形成できるようになると考えます。
米国ではICS・IMS(インシデントコマンドシステム・インシデントマネジメントシステム)と呼ばれる緊急事態管理の共通の仕組みがあり、一つの参考になります。

オールハザード対応のレイヤーで検討を

第3回の会議でも申し上げましたが、行動計画では、3つのレイヤー:オールハザードのリスクに共通して対応する部分、呼吸器感染症といった病原体群に共通して対応する部分、個別の病原体に対応する部分、を意識して考えるべき、といったお話をしました。緊急事態管理のメカニズムは、そのうちのオールハザードのリスクに共通して対応する部分に該当します。他の災害等で先行している議論も参考にしながら検討していく必要があると考えます。
今回のコロナ対応でも、緊急事態管理として、組織図や人員配置が適正であったかは中央省庁でも自治体でも見直してみると良いのではないかと思います。

過去のシナリオに最適化しない

資料の中に、「過去の経験を踏まえた実践的な訓練」という言葉がありました。「過去の経験を踏まえた」という言葉を強調しすぎないように十分に注意する必要があります。全体的な議論の傾向として、行動計画を今回のCOVID-19の対応に最適化する方向に向かっているように感じていました。このような、「前回の危機の対応に最適化する」計画の作り込みは、これまでも繰り返してきた過ちであり、十分注意しなければなりません。しつこいようですが大事なことなので、繰り返しリマインドしていきたいと思います。