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見える整体師の方

見える整体師の方がいるという噂を聞いた。

どんな方だろう。

興味を持った私は、ネットで調べてみた。

あやさんという年配の女性で、場所はここから電車で40分くらいの距離。

そう遠くない。

不思議なことに最近の私は、スピリチュアルに急速に惹きつけられていた。何かに導かれているのだろうか。

「よし、行ってみよう」

私はネットから申し込みをして、当日、その方のサロンへ向かった。

電車でサロンへ向かう途中、私は気づいたことがあった。

「そういえば今日は、彩子の誕生日」

彩子と会えなくなり、もうずいぶん経つ。

今頃、どうしてるのだろう。

ハッ! そういえば彩子は、セラピストAyaとして活動していたこともある。

なんて偶然だろう!

彩子の誕生日に、整体師あやさんのもとを訪れるのだ。

そんなことを思いながら、サロンについた。

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「失礼します。午前10時から予約していたフランシスと申します」

「どうぞお入りください」

部屋の中には、施術用のベッドとデスクがあり、デスクの前にはしっかりした風貌の年配の女性がイスに座っていた。

「胃腸がお悪いのですね。それとストレスもあるわね」

私を見るなり、あやさんは開口一番そう言った。

「えっ?!」

私は驚いた。検診もせずに、私をパッと見ただけで、そんなことが分かるなんて!

やはり、あやさんは見える整体師の方だ。

私は60分のコースを予約していた。詳しくは分からないが、身体をゆるめて、トータル的なバランスを整えるらしい。

あやさんは整体をしながら、気さくに話しかけてくれた。

「私はね、ある日突然見えるようになったの」「仕事にも結びついているし、まあいいかなと思ってる」「そのうち守護神からの声も聞こえるようになったの」

そんなことをフランクに話してくれた。

さらに、あやさんには霊も見えるらしい。次のように話してくれた。

「女性のお客さんの整体をしてるときに、亡くなった旦那さんが出てくることもあるんだよ。
奥さんのほうはもうふっきれて何とも思ってないのに、亡くなった旦那さんのほうが心配してるみたい」

施術をしながら、そんなことを世間話のように気楽にしてくれた。あやさんにとっては普通の体験なのだろう。

あっというまの60分だった。

整体のあと、私は身体が軽くなったような気がした。

「邪気が抜けたんだよ」

あやさんにそう言われた。

サロンを出た私は、昼食として、駅のうどん屋で天ぷらうどんを食べてから自宅に戻った。

午後からはお気に入りのカフェに行き、ひとりでイチゴのショートケーキを食べた。

今頃、彩子はどうしているか分からないが、幸せならそれでいい。

そっと手のひらを眺めたら、前よりオーラがはっきりと見えるようになった。

カフェの後、近くのお寺へ行くと、鳩が次々に寄ってきて、腕や肩にとまってくる。

こんなことは初めて!?

あやさんの整体を受けて、邪気が抜けたからだろうか。

それにしても……

彩子の誕生日に、整体師のあやさんに施術を受けるなんて。

私は不思議なシンクロを感じた。

やはり何かに導かれているのだろうか。


■ 執筆者 : フランシス


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