クライシステオロジー, つまり危機神学 その3

今回は, https://note.com/headphone/n/n0d35afe0b52a という記事に引き続き, カール・バルトという天才神学者の著作の一つである, 『ローマ書講解』の読み解きを行なっていきましょう.

1 『ローマ書講解』の目次

目次は以下の通りです.

第1章 導入部

・筆者から読者へ

・個人的なこと

・主題

・夜

・原因

・結果

第2章 人間の儀

・裁く者

・裁き

第3章 神の儀

・律法

・イエス

・ただ信仰によってのみ

第4章 歴史の声

・信仰は奇跡である

・信仰は出発点である

・信仰は創造である

・歴史の効用について

第5章 夜明け

・新しい人間

・新しい世界

第6章 恵み

・復活の力

・従順の力

第7章 自由

・宗教の限界

・宗教の意味

・宗教の現実

第8章 霊

・決定

・真理

・愛

第9章 教会の危急

・連帯性

・ヤコブの神

・エサウの神

第10章 教会の罪責

・認識の危機

・暗闇の中の光

第11章 教会の希望

・神の一元性

・外の者たちへの言葉

・目標

第12章ー第15章 大きな阻害

・倫理学の問題

・前提

・積極的可能性

・消極的可能性

・大きな消極的可能性

・大きな積極的可能性

・自由な生の試みの危機

第15章ー第16章 使徒と教会

以上であります.

2 そもそも「ローマ書」とは何か

バルトが『ローマ書講解』という著作を書き上げるためには, 「ローマ書」という書物の存在がどうしても必要であることは, わかってくれると考えます. だから「ローマ書」そのものについてここで説明します. 引用元は, https://kotobank.jp/word/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E4%BA%BA%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99-153395#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89 です.

ローマ書とは...

「新約聖書のパウロ書簡の一つ。ローマ書ともいう。おそらく 57年頃書かれ,パウロ書簡中最も重要なものの一つで,アウグスチヌスから K.バルトにいたるまで神学上の有力な典拠となった。あて先のローマ教会はパウロの創設によるものではなく,パウロはローマをヨーロッパ伝道の起点とすべくローマ教会にその福音についての見解を示したと思われる。書簡の体裁をとるが,「福音は,ユダヤ人をはじめ,ギリシア人にも,すべて信じる者に,救いを得させる神の力である。神の義は,その福音のなかに啓示され,信仰に始り信仰にいたらせる」 (1章 16~17) という主題のもとに組織的な構成をもつ神学書。第1部 (1~8章) では「人が義とされるのは律法の行いによるのではなく信仰によるのである」 (3章 28) という信仰義認説がアブラハムの例によって説かれている。第2部 (9~16章) ではイスラエルの救いの歴史と異邦人の救いの問題,キリスト教の倫理,信仰の弱い者と強い者との関係についてそれぞれ述べられている。現代神学においても,K.バルトの『ローマ書』 Der Römerbrief (1919) を介して,重大な影響を及ぼしている。 」

別の説明としては...

「パウロが第3伝道旅行の終り近く,コリント(コリントス)から,まもなく訪ねる予定の未知のローマ教会にあてて,いわば神学的自己紹介として書いた手紙。それだけにそれは比較的詳細かつ体系的に,彼の信仰理解の核心を提示している。全体は大別して3部から成る。まず第1部(8章まで)は福音の特質を説く。人が救われるのは律法の命じるわざを行うことによってではなく,キリストを信じる信仰によるという,いわゆる〈信仰義認〉の教説がその中心である。」

ローマ書は, その正確な名前を「ローマ人への手紙」と言います. しかしながらこれはローマ人に限定されて読まれることを, パウロは想定して書いたのではありません. パウロは, その手紙が全人類に読まれることを想定して書いたのです. ただその始まりが, パウロという人間の生まれに関連して, ローマ人になったということだけなのです.

なお念のため, パウロという人物がどのような人物なのかも説明しておきます. 引用元は, https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%AD-113369 です.

パウロとは...

「初代キリスト教の伝道者,聖人。ギリシア名パウロス,ヘブライ名サウロ(サウル)。小アジア,タルソスのユダヤ人の家に生まれ,熱心なパリサイ派であったが,劇的な回心ののち異邦人伝道に従事,前後3回の大旅行でエーゲ海沿岸一帯に福音を伝えた。エルサレムで捕らえられ,ローマへの護送後,59年ころ皇帝ネロの命で処刑されたと思われる。キリスト教が世界宗教として飛躍するうえで決定的な役割を果たしたのみか,その〈信仰のみによって義とされる〉との根本思想の影響は,アウグスティヌス,宗教改革を経て現代にまで及ぶ。新教聖書中,パウロに帰される書簡は13通あるが,真作と考えられるものは《ローマ人への手紙》,《コリント人への手紙》(第1,第2),《ガラテヤ人への手紙》,《ピリピ人への手紙》,《テサロニケ人への手紙》(第1),《ピレモンへの手紙》の7通。」

この説明を見てわかる通り, キリスト教の創始者は決してイエスキリストではないのですね. 驚きでしょうか?まあ, 神学をやったものからすればこのことは常識なのですが, 神学を勉強する人は圧倒的に他の学問に比べて少ないですからね...また, パウロはサウロという名のユダヤ教徒から, 回心して, キリスト教徒になったのです. かつてはキリストに敵対していた人サウロが, 回心してキリスト教の伝道者パウロになる...格好いいではないですか(笑)

3 今回はここまで

この投稿はここまでとします. 次回から, 今度こそ, 『ローマ書講解』の解説をできるだけ短くも, 要点を外さないようにして行ってみます. これは至難の技なのですが, 私の直観では, 全体をうわなめずりするという方法の解説よりも, 要点のところを細かく丹念に紹介するという形での解説の方が, 説得的に『ローマ書講解』というテキストの言いたいことを伝えられると考えます. 従って, このテキストの全体像を知りたい方は, 以下のリンクを調べて, そして, 自分で読んでみてくださいね. (このリンクを調べてからアマゾンなどへ行ってくださいね)

https://www.heibonsha.co.jp/book/b160587.html


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?