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エルデンリング考察集 その1

ツイッターにちょくちょくエルデンリングの考察を投稿してるんですけど、そのまま埋もれさせるのも勿体ない気がするので適当にまとめて上げておきます。

あっネタバレ注意です。


【精薬の由来】

青く輝く、儚い細片
束の間に流れた星光の残滓

使用により、FPをゆっくりと回復する

かつて、永遠の都では
精薬の材料として珍重されたという

「星光の欠片」より

永遠の都で作られた古い傀儡
夜巫女と剣士の霊体を召喚する

自ら望んで傀儡となった二人の姉妹
冷たい血の流れる異人種であり
流体の武器を振るう

「夜巫女と剣士の傀儡」より

上述した二つのテキストと、セルブスが星光の欠片と交換で傀儡を譲渡することから、永遠の都で作られていた「精薬」と「セルブスの精薬」は同種の物であると考えられる。

さらに、琥珀の星光のテキストには以下のような記述がある。

琥珀色に輝く、儚い細片
束の間に流れた星光の残滓

星光が運命を司るとすれば
琥珀色のそれは、神々の運命であるとされ
特別な精薬の材料となる

「琥珀の星光」より

琥珀の星光を材料とする「琥珀の精薬」は、知っての通りラニを傀儡とするために使用される。であるなら、同じく星光を用いて傀儡を生み出す「セルブスの精薬」は、琥珀の精薬と同様の機序を持つと考えるのが妥当である。

従って、運命を司る星光を用いて傀儡を生み出す精薬は、正確には「飲ませた相手の運命を操り、使役することで傀儡とする」効果を持っていると言える。




【黒い月、「律」と「理」】

さて、まずは以下に挙げるテキストを読んで欲しい。

死衾の乙女、フィアが宿したルーン
エルデの王が、壊れかけのエルデンリングを掲げる時
その修復に使用できる

それは、2つの欠環が合わさった聖痕であり
死に生きる理を、律の一部とするものである

黄金律は、運命の死を取り除くことで始まった
ならば新しい律は、死の回帰となるであろう

「死王子の修復ルーン」より

上記のテキストで太字にした部分を読むと、理とは律の一部に組み込まれる物であるという風に理解することができる。言い換えれば、律とは理の集合であるともいえるだろう。
さて、律と理に関するこの理解が正しいと仮定した上で、以下に挙げる魔女ラニの台詞を読んで欲しい。

もう少し、話しておこうと思ってな
私の律について
私の律は、黄金ではない。星と月、冷たい夜の律
…私はそれを、この地から遠ざけたいのだ

「魔女ラニ」の台詞より

…すべて、終わったのだな
私は誓おう
全ての生命と、すべての魂に
これよりは星の世紀
月の理、千年の旅
すべてよ、冷たい夜、はるか遠くに思うがよい
恐れを、迷いを、孤独を
そして暗きに行く路を

さあ、行こうか
…永遠なる、私の王よ

「エンディング:星の世紀」より

ラニの台詞によると、彼女が定めようとしているのは「星と月、冷たい夜の律」であるらしい。
それは星の世紀をもたらし、そこには月の理が含まれている。であるならば、「星と月、冷たい夜の律」という文章から考えて星の理も内包されていると考えるのが自然だ。
その点を踏まえて、以下に挙げるテキストを読んで欲しい。

永遠の都の僧たちのフード

大古、大いなる意志の怒りに触れ
地下深くに滅ぼされた、ノクスの民
偽りの夜空を戴き、永遠に待っている
王を。星の世紀、夜の王を

「ノクス僧のフード(軽装)」より

永遠の都、ノクステラの秘宝
「伝説のタリスマン」のひとつ

記憶スロットを増やす

それは、彼らが失くした黒い月を模している
ノクステラの月は、無数の星を従えていた

「ノクステラの月」より

諸々の描写と文脈から推察するにノクスの民=ノクステラの民であり、彼らは星の世紀が到来することを望んでいた。
すなわち、彼らが望んでいたのはラニが定めんとしていた「星と月、冷たい夜の律」が黄金律に取って代わることであり、彼らが失くした黒い月の再興でもあったのだろう。
それは、ノクステラの月のテキストにあるように、黒い月(暗月)が中核となって無数の星(=理)を従えた律であったのだ。

同様の構造は、黄金律にも見られる。

黄金樹は、すべてを律する。選ぶがよい
我らの律の一部となるか?それとも律の外にあり…
何の力も持たぬ、辺境の傍流となるか

「マリカの言霊:デクタスの大昇降機」より

この言霊から察するに、黄金樹は黄金律の中核的な存在であり、黄金律に含まれる様々な(文中における「律の一部」)を取りまとめる役割を持っているのだろう。

そして、黄金樹と同様の役割を黒い月が有していたのだとしたら、ノクステラの月のテキストもすんなりと理解できよう。
つまりノクステラの黒い月は、黄金樹と同じように「星と月、冷たい夜の律」の中核として星=理を取りまとめていたのであり、それを指して「無数の星を従えていた」と形容されたのである。




【大ルーンを2つ持った褪せ人】

エンヤ曰く、かつて大ルーンを2つ持った褪せ人が存在したという。

…ほう、あんた…大したものだね
大ルーンがふたつ、それを見たのは、今までたった一度だけさね

「指読みのエンヤ」

少なくとも、エンヤが見たことがある大ルーンの複数所持者は1人だけであるらしいが、これは何者なのだろうか。

これを判断する一つの材料として、作中には巫女を焼いた、ないし焼くかどうかの判断を迫られたキャラクターが2人存在する。
ヴァイクベルナールである。

指痕に焼け爛れた鉄兜
円卓の騎士、ヴァイクの装備

ヴァイクは、かつて
エルデの王に最も近づいた褪せ人の一人であったが
突然に王都の奥深くに潜り、狂い火に焼け爛れた

それは、己の巫女のためだったろうか
あるいは何者かが、唆しを囁いたのだろうか

「指痕の兜」より

小さな獣たちを刻んだ銀の胴鎧
背律者ベルナールの装備

獣は英雄に惹かれ、王に惹かれる
故にこれは、王たる英雄の鎧であり
ベルナールはそれに相応しかった

彼の巫女が、火に身を投げるまでは

「獣集いの鎧」より

上のテキストから分かるように、ヴァイクは「エルデの王に最も近づいた褪せ人」、ベルナールは「王たる英雄の鎧に相応しい人物」である。

前者は複数の大ルーンが無ければ入れないよう封印された王都で狂い火に焼かれ、そして後者は同じく封印されている王都を経由してのみ向かうことができる巨人の火の釜にて巫女を失った。

このように、両者ともにゴドリックの一人や二人軽く捻って大ルーンを手に入れていてもおかしくない傑物にして悲劇の英雄なのだが、しかしエンヤが出会ったことがある大ルーンの複数所持者は1人だけなのである。

どちらも大ルーンが無ければ入れないはずの王都に居たことは確実なのだが、果たしてどちらが真の大ルーン複数所持者なのだろうか。

……あるいは、どちらも違うのか?

真相は未だ闇の中…………


【ギデオン説について】

先ほどの「大ルーンを2つ持った褪せ人」に関する話だが、もう一つ「百智卿ギデオン=オーフニールが大ルーンの複数所持者」だとする説も存在する。

この説の根拠として、彼が二本指によって主人公と遜色ないほど期待されている褪せ人であること、そして主人公は獲得できないが存在は明記されているミケラとラニの大ルーンを合わせると丁度2つになる(=その2つをギデオンが持っている)という点が挙げられる。

確かに一見するともっともらしい説に見えるかもしれないが、しかしヴァイク・ベルナール説と同じく、この説にも疑問点が存在する

まず、ギデオン=オーフニールを倒しても大ルーンを落とさないことがそれだ。
二本指によると「大ルーンはデミゴッドを殺すと奪うことが出来る」らしく、実際主人公はすべての大ルーンをデミゴッドの殺害によって入手している。
であるにも関わらず、本編終盤にて敵対したギデオンを殺害しても、彼は大ルーンを落とさないのだ。ヴァイクやベルナールと違い、侵入による敵対ではないにも関わらずである。

さらに致命的な問題として、彼がミケラの居場所を知らないという点が挙げられる。
主人公が王都ローデイルに到達した(すなわちエンヤによって問題の台詞が述べられた)後、ギデオンに対して「居場所の分からぬデミゴッド」に関する情報提供をすることが出来るのだが、ここで彼は「自分と円卓はミケラの居場所を知らない」旨を主人公に告げているのである。
居場所を知らないデミゴッドの大ルーンを、どのようにして得ることが出来るだろうか? あるいは、仮に大ルーンを持っているのだとしたらどうしてその居場所をわざわざ知ろうとするのだろうか? よって、彼がミケラの大ルーンを持っていることはあり得ないのである

なお、上述したような「大ルーンを2つ持った褪せ人」論争全体における決定的かつ致命的な問題点として、作中に登場するデミゴッドとの数が合わないという点が挙げられる。
ヴァイクやベルナールが大ルーンの複数所持者だとした場合、当然彼らは主人公以前に2体以上のデミゴッドを倒していなければおかしい。しかし、私が作中におけるテキストや描写を見た限り、「すでに倒されたデミゴッド」に関する情報は一切存在しない
ギデオンも同様である。もし彼がラニの大ルーンを確保していたのだとしても、主人公が倒すまでは他のデミゴッドはすべて大ルーンを持った状態で壮健なので、彼が持っている大ルーンは最高で1つだけということになる。

よって、結局真相は未だ闇の中…………


【魂無きデミゴッズ】

エルデンリングの作中には、「魂無きデミゴッド」と呼ばれる存在が登場する。
ここでは彼らの正体については敢えて立ち入らないが、取り敢えず下記のテキストを読んで欲しい。

蝕の太陽が描かれた、金属の大盾
首のない、霊廟騎士たちの得物

蝕まれ、色を失くした太陽は
魂無きデミゴッドの守護星であり
彼らを、運命の死から遠ざけるという

「蝕紋の大盾」より

太字の部分を読んで頂けば分かるかと思うが、「彼ら」という単語から推察できるように魂無きデミゴッドは複数体存在している。
これは英文テキストからも明らかである。

Metal greatshield painted with a sun in eclipse. Carried by the headless mausoleum knights.

The eclipsed sun, drained of color, is the protective star of soulless demigods. It aids the mausoleum knights by keeping Destined Death at bay.

”ECLIPSE CREST GREATSHIELD”より

これは蝕紋の大盾にだけ記載されているという訳ではなく、蝕紋のヒーターシールド(ECLIPSE CREST HEATER SHIELD)、霊廟のサーコート(MAUSOLEUM SURCOAT)、そして霊廟兵の遺灰(MAUSOLEUM SOLDIER ASHES)においても同じく”demigods”表記が確認されている。
よって、「魂無きデミゴッドが複数体存在する」ことは最早疑いようのない事実と言ってよい。

A medium-sized metal shield. Easier to handle than a kite shield.

The sun in eclipse is said to be the symbol of the Wandering Mausoleum where the soulless demigods slumber.

”ECLIPSE CREST HEATER SHIELD”より

Armor worn by headless soldiers who endlessly guard the Wandering Mausoleum.

The surcoat depicts the mausoleum bell, which rings in constant mourning for the soulless demigods.

”MAUSOLEUM SURCOAT”より

Ashen remains in which spirits yet dwell.
Use to summon the spirits of five mausoleum soldiers.

Spirits of five headless soldiers who confound foes by disappearing and reappearing at will.

The mausoleum is where the bodies of soulless demigods are lain to rest, and these soldiers followed their masters into Death by severing their own heads from their bodies.

”MAUSOLEUM SOLDIER ASHES”より

ただし、唯一の例外が存在する。
それこそが「首なし騎士、ルーテル」のテキストだ。

「伝説の遺灰」のひとつ
首無し騎士、ルーテルの霊体を召喚する

霊廟兵の長となる、首のない騎士の霊体
死を纏う槍を振るい、幻影の槍を投じる

ルーテルが殉死し、守り続けた
魂無きデミゴッドが再誕した時
彼女は英雄として、還樹を賜った

「首なし騎士、ルーテル」より

Legendary ashen remains.
Use to summon the spirit of Lhutel the Headless.

Spirit of a headless knight who leads the mausoleum soldiers.
Wields a lance enrobed in Death and hurls spectral lances at foes.

Lhutel sacrificed her life so that in Death she could continue to protect a soulless demigod until their revival, earning her the hero's honor of Erdtree Burial.

”LHUTEL THE HEADLESS”より

このテキストからは、少なくともルーテルが守っていた1体の魂無きデミゴッドは再誕しているが、それ以外の魂無きデミゴッドは恐らくそうではないということが示唆されている。
何故なら、魂無きデミゴッドの再誕が頻繁に起こるなら、それを守ったルーテルがわざわざ還樹されることは無いと思われるからだ(この際、還樹が何であるかは置いておく。わざわざテキストに書いてあるのだから、何かすごい名誉だったり偉業だったりするのだろう)。

まぁ、再誕した魂無きデミゴッドがその後どうなったのかは何も分からないのだが……




【終わりに】

この記事は、私一人の考察では決して辿り着くことが出来なかったであろう様々な人のアイデアや、そうした人々との議論で得られた知見が数多く含まれています。
この場を借りて、記事作成やその前段階の議論において特にお世話になった天地日月氏(@tentijitugetu_)並びに、考察における潤沢かつ良質なデータベースを提供してくださったシード氏(@Souls_Seed)に感謝の言葉を捧げます。

ほんっっっっっとうに毎度ありがとうございました!!!!!

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