雨の中

雨の中にいるのは好きだ。

さんさんと降る雨の音を聞きながら室内で娯楽に勤しむのが好きだ。

傘に当たる雨音を聞きながら歩くのも悪くない。

もしかすると傘を差さずに雨の中を急ぐのも嫌いではないかもしれない。

雨の中にいて嫌なのは顔が濡れる事くらいだ。

それも乾いている部分があるから相対的に濡れて嫌なのであって、
もうびしょぬれならば関係ない。

ここ半年で雨の中を歩く機会が少なくとも二回はあった。

天気予報をあまり見ずに出かけた結果である。

折り畳み傘があるのだから鞄に入れておけばいいのに、
つい大丈夫と思って置いて行ってしまう。

結果、濡れると困る精密機器やら、
カードやらを庇ってずぶぬれになるわけだ。

雨で濡れて嬉しくなることは、冷えた体をお湯で温める時だ。

手から足から血が通っていき次第にぽかぽかとしてくる。

もしかしたらサウナに執心する人は、
人工的にこういう現象を起こしているのかもしれない。

雨の後のお風呂上りと、ただのお風呂上りは違う。

雨の後は大仕事を済ませた気持ちになってさっぱりする。

そのまま髪も乾かさず過ごして体を冷やしてしまうのもご愛敬だ。

雨だと外に出たくなくなるが、
いざ出ると意外と悪くないのがふしぎな所である。