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【モダン】紙束デッキメモ【ティムール鉱石鱗の守護者】


はじめに

 ティムールでデッキが組みたい。そう、思ったんだ。

 こんにちは、HEAです。
今回紹介するデッキはティムールカラーの墓地肥やしデッキです。
使うフィニッシャーは《鉱石鱗の守護者》。
 まずはこのフィニッシャーを選択するに至った経緯を説明しましょう。

過去・現在・未来

 事の始まりは『モダンホライゾン2』の発売でした。
対抗色フェッチランドの再録により、
マナ基盤は比較的安価に構築することが可能になります。
そして私には一度組んでみたいと思っていた
色の組み合わせがあったのです。
それが青赤緑のティムールカラーでした。
古くはシータカラーと呼ばれていたこの色が
私にはとても美しく思えていたのです。

 緑赤の友好色に差し込まれた青という対抗色。
一見ばらばらに見える三色が「時間」というキーワードを与えると
美しく繋がるのをご存じでしょうか。
すなわち、過去(緑)現在(赤)未来(青)です。
 緑は過去を志向します。
運命を受け入れ過去から今まで繋がった織物の中で
自分の役割を受け入れています。
 赤は現在しか見ていません。
自分の感情のままに行動し、後の事も先の事も考えません。
助けたいから助け、殺したいから殺す。それが赤です。
 青は未来を志向します。
今というスタート地点から自分をどれだけ高められるのか。
自己を批判的に観察し、思い描いた未来へ進んでいきます。
 この3つが揃うとそれぞれに欠けている視点が揃うのです。
これが私がこの3色を美しいと思う理由です。

デッキ作成

稲妻にも負けず、一押しにも負けず

 さて、話が脱線しましたがかねてから組んでみたかった
青赤緑のデッキを組むチャンスがやってきました。
 組むならアーキタイプは
青赤に緑を足したコントロールデッキ、
青緑に赤を足したランプデッキ、
赤緑に青を足した撹乱的アグロデッキの大きく3つに分けられるでしょう。
 撹乱的アグロデッキはすでに持っているので
コントロールデッキかランプデッキを組むことにした私は、
まずフィニッシャーを決定する事にしました。

 フィニッシャーの要件はマナコストが5以上で、
タフネスが4以上のクリーチャーです。
付け加えるなら出たターンに仕事をする事。
つまり、《稲妻》にも《致命的な一押し》にも耐性があり、
ETB能力か速攻を持っているクリーチャーですね。
 安く戦場に出したいのでコスト軽減も付いているといいなぁ。
そんな贅沢な要求をモダンのカード・プールに押し付け潜っていきました。
そこで見つけたのがこちらのカードです。

今回の犠牲者

7/4/4飛行速攻。いくら何でもちょっと・・というマナレシオですが、
よく見てください。

「この呪文を唱えるためのコストは、
あなたの墓地にある土地・カード1枚につき(1)少なくなる。」

つまり、フェッチランドを有するモダン環境では
軽率にコスト軽減が出来てしまうのです。
アンコモンとしては6/4/4飛行速攻が妥当な所ですが、
レアなら5/4/4飛行速攻におまけが付きます。

アンコモンのドラゴン

多くても5マナ。出来れば4マナで唱えたいところですね。
こうしてデッキの方向性は墓地に土地を溜める方向に決まりました。
ここからは墓地に土地を肥やす方法を考えていくことになります。

森を焼き払え!

 緑のマナ加速には《砕土》のような
自身の土地を生け贄に捧げるものがあります。

似てるけどちょっと違う2枚

 また赤の土地破壊にはドローのおまけ付きで
基本土地を戦場に出すものがあります。

マナコスト以外もちょっと違う2枚

 こうしたカードを使えばマナ加速をしつつ、
あるいはアドバンテージを失わずに墓地を肥やすことが出来ます。
また、墓地の土地に関するテキストがあるカードも欲しいところ。
ここは『ドミナリア』から《ヤヴィマヤの化身、ムルタニ》に
お越しいただきましょう。

到達トランプルが結構偉い

 《ヤヴィマヤの化身、ムルタニ》は場と墓地の土地・カードを参照し、
その数分の修整を受けます。また墓地から手札に戻る効果も持っています。
これらを使うことで、ランプデッキにすることが決定しました。
それを念頭に置いて作られた初期のデッキがこちらです。


 壁が・・薄すぎませんか?
土地加速カードが12枚。あとは何となく除去とアド稼ぎカード・・。
この構成だと、アグロやミッドレンジデッキには
なす術無く蹴散らされる事でしょう。
初のティムールカラーだからと2色コマンドを3種6枚積んでいるのも
何の役に立っているか分かりません。
 一応《砕土》からは土地がアンタップインするため、
《砕土》の後に《アタルカの命令》や《成長のらせん》で
追加のマナ加速が出来るようになっています。
しかしこの構成だとデッキからフィニッシャーを
引っ張り出すのに苦労します。
フィニッシャーの弱いランプ。それがこのデッキの評価でしょうか。
《覆滅+複製》をフェッチランドに撃って実質ランデス!
とか考えている場合じゃありません。
友人にもアドバイスを貰い、このデッキの大改造が始まります。

紙束の大改造

 まず、確認すべきはアーキタイプです。
ここがブレると何を作っているのかよく分からなくなります。
 開発部の”Gavin Verhey”氏も
『ゼロからのデッキ構築』で言っていました。
デッキのアーキタイプは最終局面を見れば分かる、と。

 デッキアーキタイプを確認するにはどうすればいいのだろうか? プレイしているデッキがその種類なのかを確認する方法はいくつかあるが、その中でも最も良い方法は、どのようにゲームを終えることを理想としているかを確かめることだ。ゲームの終了時を見て、たどってきた道のりを開始時まで遡ることで、どんなカードが君を助け、優位に運んでいったかを理解するだろう。

https://mtg-jp.com/reading/translated/rc/0004324/

この記事によると、ランプの最終局面はこうです。

ランプ:数多くの土地を出し、ひとつの大きな脅威(稀にとても大きなふたつの脅威)によって勝利に導びかれてゲームを終える。墓地と戦場にはマナ加速が一杯で、全体除去や単体除去がある場合もある。

https://mtg-jp.com/reading/translated/rc/0004324/

 果たして《鉱石鱗の守護者》は
「ひとつの大きな脅威」と言えるでしょうか。
 答えは否です。何せ相手を倒し切るのに
5回も攻撃を通さなければならないのです。
ではどんなアーキタイプに向いているのか・・?

ミッドレンジ:いくつかの大きな3~6マナのクリーチャー(マナ加速された場合もある)が攻撃することでゲームを終える。あるいは、プレインズウォーカーが奥義に至るかもしれない。墓地には少量の除去呪文を始めとした妨害手段があるだろう。

https://mtg-jp.com/reading/translated/rc/0004324/

向いているのはミッドレンジデッキではないでしょうか。
つまり、足りないのは脅威の数。そこを念頭に置いて考えてみましょう。
墓地を肥やしてメリットがあり、
シナジーのあるクリーチャー達を加えたのがこちらのデッキです。

デッキ紹介

メインボード解説

1マナ域

《エルフの開墾者》
 最大1/3/4になるクリーチャー。
条件は墓地に土地が3枚以上あることです。
また、自身の効果で墓地に土地を溜めることも出来ます。
フェッチランドをサーチすればより早く成長できます。
《邪悪な熱気》
 モダンホライゾン2で登場した1マナ6点火力。
墓地肥やすならとりあえず入れとけ枠です。
《ウルヴェンワルド横断》
 序盤は基本土地を、昂揚を達成すれば
任意の土地かクリーチャーを持って来れるソーサリー。
昂揚を達成する前提なので、いい仕事をしてくれるはず。

2マナ域

《とぐろ巻きの巫女》
 生きた《成長のらせん》マナ加速かドローをする事が出来、
序盤の壁にもなってくれます。
《群れの結集》
 
2マナで4枚墓地を肥やすことが出来るカード。
落ちてしまったフィニッシャーも回収出来て安心です。
昂揚達成要員。

3マナ域

《大スライム、スローグルク》
『イニストラード:真夜中の狩り』で登場した噛み合った1枚。
土地がいずこかから墓地に行けば良いので、
手札から捨ててもデッキから切削しても大きくなります。
付いているトランプルが偉い。
《プリズマリの命令》
火力、手札交換、一時的マナ加速、アーティファクト破壊と小器用な1枚。
スローグルクと高相性で、手札交換で土地を捨てれば
疑似的なコンバット・トリックとしても使えます。

4マナ域

《嘘か真か》
 『モダンホライゾン』でモダンリーガルとなった懐かしの1枚。
スタン当時は《嘘か真か》の分ける練習が必須だったとか。
 土地の束を切り捨てれば効率的な墓地肥やしになります。

5マナ域

《アルゴスの庇護者、ティタニア》
 『モダンホライゾン2』でモダンリーガルとなったエレメンタル。
ETB能力で墓地の土地を場に出し、土地が場から墓地に行くたびに
自分と同サイズのトークンを生成します。
フェッチランドを回収すれば即座に5/3が2体に。強い。
《レンと七番》
土地を持ってきて、出して、土地のサイズのトークンを出す。
全部2人でやっちゃうプレインズウォーカー。
トークンは十分フィニッシャーとして活躍できます。

6マナ域

《ヤヴィマヤの化身、ムルタニ》
ブロッカーとしてもフィニッシャーとしても優秀な1枚。
重さがネックとなって採用枚数は1枚に。

7マナ域

《鉱石鱗の守護者》
今回の主役・・のはず・・。
終盤には2/4/4飛行速攻となってちょっとすごいドラゴン。
だんだん抜いてもいいんじゃないかと思えてきて寂しい。

土地ピックアップ

《睡蓮の原野》
2枚も土地を墓地に落としてくれる土地。
使ってみると多色デッキのノイズになっているので
抜くカード筆頭になっている。

おわりに

 今回は色から作るデッキとなりました。いかがだったでしょうか。
色から決め打ち的に作るのは珍しいな・・と自分で思っていたのですが、
結局《鉱石鱗の守護者》君を中心にしたデッキ構成になりましたね。
 デッキ1からデッキ2の間にも紆余曲折ありました、
ですが、このままの勢いですと5,000字を越えそうだったので
ざっくりカットしました。
 まだまだ成長出来そうなデッキなので
機会があればまた弄って経過報告を上げたいですね。
 今回はこんなところで。
また次回の『紙束デッキメモ』でお会いしましょう。 

2022/08/23 HEA

参考文献

Mark Rosewater,『真の青への再訪』,2015,(https://mtg-jp.com/reading/mm/0015313/),2022/08/23取得
Mark Rosewater,『またまた真っ赤に』,2015,(https://mtg-jp.com/reading/mm/0015455/),2022/08/23取得
Mark Rosewater,『緑への再訪は簡単ではない』,2015,(https://mtg-jp.com/reading/mm/0015497/),2022/08/23取得
Mark Rosewater,『艱難汝を玉にす』,2015,(https://mtg-jp.com/reading/mm/0014448/),2022/08/23取得
Gavin Verhey,『ゼロからのデッキ構築』,2013,(https://mtg-jp.com/reading/translated/rc/0004324/),2022/08/23取得

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