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1200文字でジェットコースターを表現する。

以前、音声SNSクラブハウス内で1200文字で表現するワークを体験させていただいた。
その時のテーマは、「ジェットコースター」。
乗る前から乗った後までを1200文字で書いてみた。

【ジェットコースターの体感】
全体的に人がまばらな遊園地だが、このジェットコースターは人気があるらしく、ここだけいつも人だかり。
乗り場に向かって歩いていくと、あちこちでジェットコースターからの悲鳴が聞こえる。
今回はフリーパスを買ったのでできるだけ多く乗り物を乗ろうと事前に行動プランを考えた。
このジェットコースターに乗ることも今回の第一目標である。

乗り場に到着したが、最後列は階段上がった乗り場まではまだ遠い。待っていると乗り終わった乗客がいろんな表情で降りてくる。

いよいよ次が自分が乗る番。
けたたましく帰ってきたジェットコースターから笑顔やら脱力感、安堵感の乗客が降りていく。
思ったより小さいシートに座ってみる。
見た目より体全体を包み込む感じが少し不安を減らしてくれる。
上からU字型の安全バーが降りてきて狭いシートにしっかりと体を押さえている。

次に次に乗客がシートに座っていくと、従業員が単調な注意事項を話しはじめた。
後ろの方からは何度もこのコースターに乗っているであろう人たちの嬉しそうな声が聞こえた。

けたたましいチャイムが収まり、コースターはゆっくりと動き出す。
カタカタと音を立て目の前のレールを上がっていく。心地よい風が頬に当たり、遠くで叫んでいる子供の声や音楽が聞こえてきた。
これから落ちていく前の一瞬の安らぎ。

意識してなくても心拍音が速くなってくる。次第に目の前からレールが見えなくなってきた。
ちょうど頂点に達した時、一瞬止まったかのように感じたのも束の間、地球の全重力が頭を押さえつけるようにジェットコースターが落ちていく。
ほぼ直角に落ちているように感じたその後は、映画トップガンのトムみたく戦闘機を操縦しているかのように渦を巻きながら回転している。
重力の目まぐるしい移り変わりで体は右へ左へと投げ出されそうな勢い。
ただ、体はしっかりとシートに沈み込んでいるのと、大きめの安全バーのおかげで幾分恐怖感は和らいでいる。

懐かしい水平移動に戻ったが、今度は敵機を欺く旋回行動の如く大きく円を描くようにまた上昇を始めた。
頂点に達しようとしたところで速度が落ちていく。一番高いところでジェットコースターはピッタリ止まってしまった。
再び耳に子供たちの声や音楽が聞こえるが楽しむ余裕などなく、再び旋回行動が猛スピードで始まり円を描くように駆け込んでいく。
頭蓋骨が後頭部のシートに押さえつけられながらもう一回転すると、大きな音と振動で下腹を殴られたように減速。

やっと終わったと安心していたところにほぼ直角左に曲がり、魂が肉体からはなされさるような感覚でトドメを刺された。
徐々に速度が落ち、懐かしい乗り場に戻ってきた。
しばらく放心状態でいたら、他のシートでは次の人たちが乗り込んでいた。
慌てて安全バーを上げてジェットコースターから降りふらつきながら階段をおりてった。
ニヤけながらも震える足を引き摺りながら乗り場を離れていった。

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