すずめの戸締まり 感想

さっき、観終わって鑑賞直後の鮮度の高い感想をとりあえず帰りの電車で書いてる。


総評★★☆☆☆


何もまとまっていないのでとりあえず雑多に書いてく

・星を追う子ども以来の異世界ファンタジーSFバトルアニメだがフォーマットは君の名は天気の子

・君の名は天気の子で自然災害をラブコメに消化しているだとかいろいろ言われてた中での今作、、、
攻めすぎだろ! 

序盤で漁船が陸に放り出されてる回想シーンで3.11を思い出したが、後半のどこか忘れたがカレンダーで3.11が映されるシーンで正真正銘の東日本大震災であることを確定させたところでは思わず心の中でまじか!と叫んだ。この人、真っ向から戦ってきたぁぁw と
ジブリ色の濃い超絶ファンタジーな内容でありながら超絶ノンフィクションを描く"超攻めた姿勢"というのは感じられたんだが、個人的に全然好きとは言えないし新海映画の中だったらワースト2位というのが初見の正直な感想。

ちなみに個人的な好みで言うと 

秒速 >>君の名は>言の葉の庭>>>雲の向こう約束の場所≧天気の子≧彼女と彼女の猫 >>7位 すずめの戸締まり>>>>>>>>>>>>星を追う子ども
ですかね。

まあいろいろ雑多に書いていくと

・正直もう新海誠の風景描写に目が慣れてしまった。
新海誠と聞くと誰もが口を揃えて言うのがまずは美麗な風景描写だろう。
風景描写がなぜそこまで良いのか、好きなのか。これは完全に私の勝手な好みなんだが、新海映画で良いと感じる風景は、四季を描くタイミングだ。その中でも個人的に「春」と「冬」の描写が圧倒的に好きだし、同意してくれる人も多いだろう。

秒速5センチメートルの春の桜が舞う東京の描写、鬱病の遠野が街をさまよう雪の降る冬の描写、言の葉の庭の梅雨の描写、、、
君の名は以降は四季を中心として描かれることは少なくなってしまったが。。。

というか、あの風景描写と天門や野田洋次郎の音楽の絶妙な挿入さえあれば正直男女がどうとか命の循環とかストーリーはどうでも良くて8割は雰囲気を観に来てるまであってストーリーはその雰囲気を支えるための便宜と言ってしまっても差し支えない。
そう言った意味で今作は劇中に野田洋次郎の歌声が一度も聞けなかったのが残念だった。なんでもないや、愛にできることはまだあるんかいのようなね。
そして、総じて音楽が微妙。。。RADの今回のテーマ曲のあのエスニックな感じも悪くはないんだが、君の名は天気の子を知っていると正直なぁー。

・今作の時間概念は季節ではなく、過去現在未来である。まだ一回しか観てないので細かく見れてないが、愛媛のみかん畑で2回目(?)の怪物がするシーンでは彼岸花がカットで映ったのを覚えている。
彼岸花の開花時期は7〜10月らしいのでおよそそこら辺の時期の話ということで間違いないと思うが、それがストーリーを読み解く上でその事実はほとんどどうでも良いほど、季節という概念との関連性は薄い。基本的に、回想(過去)と、すずめの冒険(現在)と、座標(未来)(進撃脳なので進撃の巨人の座標にしか見えなかった)の3シーンで構成されているからだ。そして、今作はその中でも回想(過去)と座標(未来)が占める割合が過去作と比べて圧倒的に長い。

『君の名は』では、隕石落下後のアフターストーリーで雪降る東京が描かれる。本当に数秒のカットなのだが、そこでは冬物のニットを着たテッシーとさやちんがカフェでsomething to hot drinkを飲んでさやちんとテッシーの
「私も3キロ痩せるでさ」「ケーキ食いながら言うか?」「明日から本気出すの」という糸守弁のやりとりシーンが描かれるが、あの冬でしか感じられない独特の暖かみがとても好きだし、
『天気の子』ではヒナがエネルギーを使い切って異常気象が始まり、夏なのに終いには雪まで降り出して子供たち3人が山手線が立ち往生になり、池袋で仕方なく途中下車する時のあの雰囲気、ある程度のリアリティの上で成り立つ"ありそうな混沌さ"がとても良い。

秒速の春の表現、言の葉の庭の梅雨の表現など挙げていくとキリがないのだが、そう言った新海フィルターで描かれる日本の四季的要素が今回は特段薄かったのが残念…( ;  ; )


・新海が初めてファンタジーに挑戦した『星を追う子ども』は不評であった。雑誌ダヴィンチのインタビュー記事ではほぼ失敗に終わった星を追う子どものリベンジをいつかしたいという旨を話しており、それが今作の「すずめの戸締り」である。
今作は星を追う子ども以来の純度100%のファンタジーであり、正真正銘のリベンジと思うのだが、結局今作も微妙だったし、個人的に新海誠はガチガチのファンタジーしてほしくないんだよな。
映画後半の、あの世に行ってからの巨大猫と巨大ミミズの大怪獣バトルとか正直笑ってしまったし、最後男と女が二人でそれぞれミミズに鍵を刺すシーンなんかはあまりにもバトルアニメ過ぎてキングダムハーツか?とか思って笑いを堪えるのに必死だった。

ダヴィンチのインタビューで誠っちは「問答無用で過去作の中で一番面白かったと言ってもらいたい」と言ってるのだが、正気か?と思ってしまったのがエンドロール中の正直な感想だった。一緒に観に行った友人も似たような感想だった。
なんというか、ジブリの王道であるコンパニオンアニマル(ヒロインと小動物)をなぞった感じの「女子高生と椅子」という役構成も正直うーん…って感じだし、
新海の当初の発案では、男の子ではなく小動物にされる予定だったが、それでは王道すぎるという理由で、椅子に変えたらしい。
新海がすずめの戸締まりの企画書を出した4日後にコロナの緊急事態宣言が出たらしく、外に出られない閉塞感というのも込めての椅子らしいが、、椅子…?
椅子ですか…?というのが率直な感想である。

あとは、男女が出会って超次元事象起こしちゃうけど人柱を犠牲に自然災害を止める→最終的に「俺は雨よりヒナがイイっ‼️‼️」となり、人柱救出→最後に再会してエンドロールというお決まりの風呂敷を広げお決まりの風呂敷畳み。
まあ、それが新海誠のやりたいことだし良いんだけども、、、 
いやいや、今回は戸締まりのお話であって、元々空いてたモノを閉じていくんだから過去作とは真逆でしょ。という意見がありそうだが、それはごもっともだし私もそうだと思っている。が、最後にヒロインがチャリで坂を下っていき、向かいから椅子男っぽい人影が見え始めるカットを見た時点でもう正直かなりうんざりだった。


最初の総評を☆2としていて、☆1ではないので、良かった点を挙げてく

・大学生とおばさんとヒロインと猫のドライブシーンは本当に良かった。新海誠の良さはあれに詰まってる気がする。あれを1時間やってくれても良かった。
・魔女の宅急便を思い出させるユーミンのルージュなど、新海のジブリ愛感じられて良かった。
・ヒロインの幼少期の震災の回想でおばさんと抱き合うシーンは正直泣いた。あれは泣かざるを得ない。新海誠でしっかりと泣いたのは何気に初めてかもしれない。
・新海誠を一回も観たことがなくて何の予備知識もない人が初めてすずめの戸締まりを観たならかなり面白いと思う。

とりあえず鑑賞直後の感想としてはこんな感じ

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