須

「彡」と「須」と「髭」と「鬚」と。

前回noteでの「くにがまえ」の漢字につづきまして、
あと、もうひとつ。

10月22日のnoteではさ、
【文】という漢字のことを申しあげましたが。
そのなかで、白川静先生の『常用字解』の
【文】の説明にて、、、

「美しい色や形を示す記号のような文字の
 『彡(さん)』を加えた『彣(ぶん・あや)』は、
 文身(いれずみ)の美しいことをいう。」

‥‥と記されておりまして。

このときにね、白川先生のおっしゃる
「美しい色や形を示す記号のような文字の『彡(さん)』」
という形のことが気になって。
それから、いくつか「彡」の付く漢字を探していたの。

たとえば、
【形】という字や、
【影】という字や、
彫刻の【彫】という字もそうですし。
【杉】という字もそうだなあ。
また、名古屋市の「大須」の街の地名にも入っている
【須】の字は、
「彡」の形が右側でなくって左側のほうだわね。さらに、
【膨】という字は、
「彡」が右半分でなくて右3分の1のサイズ〜。

そしてそして、「彡」が
下側に付くのもいろいろございまして。
たとえば、
【参】や【診】や【修】という漢字がそうですし。
この1つめの【参】からの発展系では、
「りっしんべん」に「参」で【惨】、
「さかなへん」に「参」で【鯵】、
また厳密に言えば【参】ではないけれど、
それにちょっと似ているかのような【滲】の字は、
「ム」が多い。。。

ぼくの専門学校のときからの友人のお名前にも入っております
【彦】の字や、
この【彦】に「おおがい」を付けました
【顔】の字もそうだわねぇ。

はたまた、
【髪】や【髭】という漢字にも「彡」が入っている。
「彡」という形がさ、白川静先生おっしゃる
「美しい色や形を示す記号のような文字」
とのことですならば、
【髪】も、【髭】も、
「美しい」ということなのでしょうか。。。

‥‥って想ったので、この【髭】の漢字のほうをね、
『常用字解』で引いてみまして。
すると、【髭】は現在の常用漢字ではないのでしょう、
掲載されていなくって。代わりに、
さきほども申しあげました「大須」の【須】という字が、
「ひげ」と読む、っていうのが分かって。。。

【須】(ス・シュ/ひげ・もちいる・まつ)
頁(けつ)と彡(さん)とを組み合わせた形。頁は儀礼のときに礼帽をつけて礼拝している人を横から見た形。彡は形や色の美しいことを示す記号のような文字であるが、この字では金文の字形をみると、顔に附着してしるされているので鬚(ひげ)の形とみてよい。(‥中略‥)ほおひげ・あごひげのある人の姿で、「ひげ」の意味に用いる。須は鬚(しゅ・ひげ)のもとの形である。(‥後略)

ここでの「彡」は、「美しい」よりも、
顔に附着してしるされる「ひげ」の形、とのことで。

そして「ひげ」にはさ、【髭】以外にも、
【須】が下にある【鬚】という字もあるのねぇ。
たしかに「ひげ」で変換してみれば、
【鬚】って出てくるなあー。
よくよく考えてみれば、ぼくは今まで、
「ひげ」という語句って変換をしたことがなかったし。
たぶん、文章の中で一度も使ったことがない。

いつでも、どんな語句でも、
その語句をはじめて使うときってちょっとうれしい。。。

大須ういろ、食べたい。。。

「リッシンベン調査団」の調査の旅は、
まだまだつづく〜。

令和元年11月14日

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