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すかいと。

以前、ぼくの母がね、
母の祖母についてのことを話してくれて。

ぼくの母の祖母は、
明治生まれで、ぼくが生まれる
だいぶ前に亡くなっているので、
ぼくはもちろん会ったことなくって。
母の印象ではね、
しっかりとした、凛とした女性。
とのことなのですが。

あるころ、
みんなでおしゃべりしていたときに、
「スカート」ということばを、
母の祖母だけが、どうしても
うまく発音することができなくって。
「スカート」を、
「すかいと」
と言っていた。

スカートや、洋服が、
いつごろ日本に入ってきたのか、とかも、
ぜんぜん知らないけど。
おそらくは、明治生まれだから、
カタカナことばをうまく言えなかった。
のかもしれないけれども。

時代とのギャップが相俟って、
そのときには、
なんだか可笑しくって、
みんなで、笑った。
とのことだけれども。

今、そのことを聞くとね、
「スカート」を
「すかいと」って言うのは、
どこか風情がある、というか。
情緒的、というか。
大正浪漫的、というか。
一周まわって、
そのことばのひびきが、
日本語の美しい詩のようだ。
とも感じられて、
すてきな話しだなあと思ったのよね。

たとえば、凛とした女性が、
すてきな「すかいと」を身につけながら、
ひらひらと、どこまでも
空を飛んでゆける、みたいな、
そんなイメージが浮かんでくる。。。

令和3年1月24日


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