脳

【悩】と【脳】と「ひよめき」と。

漢字のことを思ったり考えたり調べたりしてみる
「リッシンベン調査団」というのをね、
毎月13日、および、
そのほか不定期更新でブログ書いているですが。

こんかいの調査はさ、
先日、2月4日のボンボンさんのnoteのなかでは、
「脳 悩 似てるよね」
と、ボンボンさんがおっしゃっていて。

ぼくは、なるほどぉ。と思いました。

たしかに、【脳】と【悩】という漢字は、
似ている。
つまりはさ、右側の「つくり」の部分はおんなじで。
そして、左側の「へん」が、
「にくづき」か「りっしんべん」かのちがいなのだった。
このこと、ぼくはこれまで全く考えたことなかったので、
おもしろいなあと感じまして。

やはり、こうなってくると、
【脳】と【悩】の漢字を、いつものごとし、
白川静先生の『常用字解(第二版)』で調べたくなる〜。

まずは、後者の【悩】から。。。

【悩】 ノウ(ナウ)/なやむ・なやます
もとの字は惱に作り、音符は𡿺(のう)。𡿺は古い字系がなくて確かめることができないが、囟(し)と基本的には同じ字であろう。囟はひよめき(幼児の頭蓋骨の縫合部分)の形で、その中に考える働きをする脳がある。思はもとの字は恖(し)に作り、おもう、かんがえるの意味となる。𡿺はひよめきに頭髪が少しある形とみることができる。[説文]十二下は㛴(のう)を正字とし、「恨む所有るなり」とし、恨んでなやむの意味とする。「なやむ」の意味に用いる。

そして、【脳】も。。。

【脳】 ノウ(ナウ)/のう
もとの字は腦に作り、音符は𡿺(のう)。[説文]八上は「のう(…漢字変換できず、中略。「比」という漢字の左側と「𡿺」を合わせた字です…)」を正字とし、「頭の髄(ずい)なり」とする。囟はひよめき(幼児の頭蓋骨の縫い合わさった部分)の形で、その中に脳がある。𡿺に体の部分であることを示す月(にくづき・肉)を加えた脳は、「のう、のうみそ、のうずい、あたま」の意味となる。[春秋左氏伝、僖公二十八年]に、晋候(しんこう)が楚子(そし)に脳みそをすわれる夢をみて、楚子をおそれたという話があるが、古く人の脳みそを食う習俗があったのであろう。北京郊外で発見された数十万年前の化石人骨の頭骨には、後頭部に小さな穴があるが、それは脳みそを吸った穴であるという解釈する説がある。思いなやむことを悩(惱)という。

(この中にある[説文]とは、
 後漢の時代の字形の研究書のこと。そして、
 引用の中にて一部、機種依存の字があるやもしれません。)

【悩】も、【脳】も、
つくりの部分は「𡿺(のう)」という形が元になっていて。
その下側の部分の「囟」は、
幼児の頭蓋骨の縫合部分である「ひよめき」の形。
この「ひよめき」ということば、ぼくは初めて知ったですが、
なんだか、語感が、かわいい。
「ひよめき」にすこし髪の毛が生えているのが、
「𡿺」の形。とのことです。

ここに「りっしんべん」がつけば、
かつては「恨んでなやむ」の意として【悩】。
ここに「にくづき」がつけば、
「のう、のうみそ、のうずい、あたま」の意として【脳】。

【脳】のご説明の中での、
「北京郊外で発見された数十万年前の化石人骨の頭骨には、
 小さな穴があり、それは、、、」
というお話しは、白川先生の『常用字解』には、
ときに、このような、ちょっと、
いや、とってもショッキングなお話しが、
さらっと書かれていることがあって。
なんとも、いやはや、
そうだったのですか。とぞんじます。。。

そんな「あたま」の内部には、
なにがあるのだろう?????

令和2年2月13日


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