其の百十五 ほぼ半世紀
《吉本隆明さんの講演『芸術言語論 −沈黙から芸術まで』(平成20年7月19日@昭和女子大学人見記念講堂)を、ぼくが毎回ほんのちょっとずつ聞いてゆきながら、あらためてどんなおはなしだったのかを思いかえしてまいります。》
こんにちはー。まだまだ、きいております。
前回noteでは、糸井さんが「吉本さん。五時を過ぎました。」と声をかけ、吉本さんと糸井さんがおはなしをなされるばめんでした。そのおはなしのつづきを。。。
「はい。あの、たぶん。僕はそうなんですけど、吉本さんのお話しは、ときどき分からなくなっちゃったときに止めてもらって、質問をして、繰り返すことがよく多かったんですが。今日もその形に取れるかなぁと思ったんですが、本論が長くなってしまいましたので…。」
吉本さん「そうですね。」
「えぇー。」
吉本さん「いや。でも、糸井さん。」
「はい。」
吉本さん「なにはともあれ。えー、」
「たどりつきましたね。」
吉本さん「えー。たどりついた、っていうことと。だいたい、ほぼ半世紀に渡って頭ん中で揉んできたあれだから、そう…。そう、簡単に…、(笑)」
「そうですね。(笑)」
吉本さん「そんな、あんまり……。(笑)」
(観客笑。そして盛大な拍手。)
「いやっ、その通りだと思います!」
吉本さん「いや、糸井さん。」
「はい。」
吉本さん「やっぱり、一度や二度や、」
「ダメですね。」
吉本さん「こうあれすればかたつく…、」
「ことじゃなかった。」
吉本さん「というふうには、やっぱり。」
(観客笑)
「そうですよね。えぇー。」
吉本さん「考えないと。やっぱり、そういうことを考えると大変ですよ。」
「大変ですね。」
吉本さん「えー、あの。」
「いや、ご自分が大変なんじゃ。」
吉本さん「ははは。いや、僕はもうちょっと短いつもりでしたけど。」
「ふふふ。」
吉本さん「だいたい、だいたい終わりまでは行けるって。だけど、これを。こう言やぁ、やらせてたらおれやっぱ二十年はかけないけど。へへへ。」
「ここから先、二十年かかりますか?」
吉本さん「あはは。こっからはかからないでしょうね。(笑)」
「ははは。」
(チャプター15 / 司会(糸井重里)_1:33〜)
‥‥ていうここのばめんではさ、吉本さんが「ほぼ半世紀に渡って、頭ん中で揉んできたあれだから。そう、簡単に…。」とおっしゃるのがやはり印象的で。あとはねぇ、糸井さんが「ここから先、二十年かかりますか?」と訊くところが、今になって聞くと、泣ける。。。
それではぁ、あともうすこし。このつづきは次回noteで聞きます〜!!
平成28年12月7日