降

地上と天とを結ぶハシゴ。

昨年10月、名古屋市池下にある「古川美術館」にて、
石川九楊さんの展覧会を訪れてから、あらためて、
以前ほぼ日で連載されておりました
石川九楊さん×糸井重里さんの対談を読み返そう。って、
思いながらも、なかなか読めなくって。
ずっとSafariのリーディングリストに入れていたのですが、
このたび、年末年始のお休みのときにようやく読めまして。

あらためて、対談、おもしろかったなあ。

なかでもね、やはり、
「漢字」のことを調べてみたい
リッシンベン調査団のじぶんといたしましては、
石川九楊さんがおっしゃった
「こざと偏」のことがとくに気になりました。

このところを、ほぼ日の対談より引用しますと、、、

石川 たとえば、白川静先生の出身の福井県では、
部首ごとに漢字を学ぶ勉強をしています。
草冠というものは草から由来していて、
そういうものに何がくっついている、
という形を勉強するんです。
この字にはどういう意味合いがあるか、
どういう形でこの字ができたかを教えるわけです。

糸井 成り立ちが頭に入ってくるんですね。

石川 そうそう。
「こざと偏というのは、
地上と天とを結ぶハシゴだよ」
ということを教われば、
みんな、すぐに覚えられますから。
(ほぼ日刊イトイ新聞、石川九楊さん×糸井重里さん対談『石川九楊の「書」だ。』第1回(2017-07-12)より引用です。)

「こざと偏は、地上と天とを結ぶハシゴ」
というのが、へぇー、そうなんだあ、と思って。
それからまずは「こざと偏」の漢字をいろいろ探しながら、
と、「探す」とは言ってもネットでは検索せず、
主には読書中の本の中で登場する漢字をピックアップする、
という方法で探していたのですが。たとえば、、

【隆】【階】【降】【隔】【隙】【隠】
【除】【際】【限】【隣】【院】【陥】
【陶】【阻】【障】【陣】【陸】【険】

などなど、そして、
【陰】と【陽】の字が「こざと偏」だったり、
また、建築家・隈研吾さんの【隈】の字や、
「阿弥陀仏」の【陀】の字。はたまた、
「菩薩」の【薩】や、「堕ちる」の【堕】にも、
「こざと偏」の形が入っているのねえ。

こう眺めてみれば、どことなく意味合い的に、
「地上と天とを結ぶハシゴ」というのも、
ちょっとわかる気がする。

そう想いながら、いつものように、
白川静先生の『常用字解(第二版)』にて、ひとつだけ、
【降】の字を引いてみれば、やはり、
「阝」は、天上の神が
陟(のぼ)り降りするときに使う神の梯子(はしご)の形。
と出ていて。

そして、、、

神が神梯(しんてい)を降(くだ)ることを降といい、神仏が天上から地上に降ってくることを降臨という。中国では神が天上におり、この神梯によって陟り降りすると考えられた。わが国の神話にも、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の孫が高天原(たかまがはら・天上の国)から筑紫(つくし)の日向(ひゅうが・今の宮崎県)の高千穂峰(たかちほのみね)に降りて来たことがわが国の始めであるという天孫降臨の話がある。降は神が「くだる」というのがもとの意味であったが、高所から「くだる、くだす、おりる、おちる、ふる」ことを降というようになり、のち敵に負けて従うことを降参・降伏・降服という。
(白川静さん「常用字解(第二版)」での【降】の項目より引用です。)

なんと、「日本」の国の始めのことまでが載っていた!
この「日本の国の始め」のことを
「天孫降臨」と言う。とのことで。
つまりはさ、【降】の漢字とはさ、
「日本」が始まる合図のような漢字だったのだねえ。

こう思って見てみると、
「こざと偏」がどこか神々しい。。。

さてさて、
つぎはどの漢字を調べてみようかなあ。

令和2年1月13日


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?