表紙21

其の百十四 大丈夫

《吉本隆明さんの講演『芸術言語論 −沈黙から芸術まで』(平成20年7月19日@昭和女子大学人見記念講堂)を、ぼくが毎回ほんのちょっとずつ聞いてゆきながら、あらためてどんなおはなしだったのかを思いかえしてまいります。》

こんにちはっ。まだまだ、講演の最後まできいてゆきます。

前回noteでは、「つまり、『とほしろ体』って何なのか? って言ったら、遠くに白い、遠く広い、って意味合いで取ればよく取れるわけですけど。僕は『しらとほふ』という古い言葉が逆語として出てきて、そして意味も…。中世の和歌の専門家が『しらとほふ』を『とほしろ体』っていうふうに、和歌の文体のひとつとして『とほしろ体』っていうのを考えて作り出した。と、僕は思っていますけど。」と吉本さんおっしゃるばめんでした。

ここで、吉本さんの背中で待機されていた糸井さんが「吉本さん…。」と声をかけます。。。

「吉本さん…。」

吉本さん「はい。」

「えー、五時を過ぎました。(笑)」

吉本さん「あ! もう、もう、ダメだ。」

「ですから、まぁ、だいたい、」

吉本さん「だいたいは…。」

「予定のところまでお話しになった気がしますが、どうやらいくらでもしゃべりたいご様子なのはよくわかるのですが。」

吉本さん「いや、もう、いい…。(笑)」

「大丈夫ですか?(笑)」

(観客笑)

吉本さん「はい。ははは。(笑)」

「本当は一度、休憩を入れて。もう一回、僕がこのへんわかんなかったんですけど、とかっていうお話しをしようと思ったんですが。えー。三時間が過ぎてしまいましたので、そのへんわかんなかったのですが、っていう時間を、また吉本さんのお宅へおじゃまして、お話しをさせていただいて。で、それを『ほぼ日刊イトイ新聞』のほうに載せるという形で、自己解説の時間をまた取っていただけますでしょうか?」

吉本さん「あ。あの。それは、あの。」

「はい。」

吉本さん「期日。期日に限定…、」

「はい。」

吉本さん「いついつまで、っていう締め切り。こういう限定が、なしであれば、」

「はい。なしで。なしで結構です。」

吉本さん「非常にひまな、」

「はい。」

吉本さん「ひまなとき、って言うんですか。とか、調子が良いとき…。」

「調子が…。(笑) 今日、ひょっとして調子を悪くされたんじゃないか、と思って心配なんで。」

吉本さん「いや、いや。」

「大丈夫ですか?」

吉本さん「大丈夫ですけど。」

「はい。」

吉本さん「あの。あの。えー。」

(チャプター15 / 司会(糸井重里)_0:00〜)

‥‥と。んでもほんとうに、ここまでの三時間ずっと休憩なしで吉本さんしゃべりつづけておられて。ぼくは会場で聴講していて、そのときは講演の内容はなかなかむつかしくてあんまりよくわからなかったけれど、その吉本さんのおすがたには、すごい、とおもいました。

それではぁ、本論終了後の吉本さんと糸井さんのおはなし、このつづきは次回noteでききます。

平成28年12月6日



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