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新しい問題を立てる。(「無くした切符」篇)

以前、グラフィックデザイン科の専門学校へ通っていたころ、
二週間ぐらいだったかなあ、海外研修として
パリとロンドンを訪れました。そして、研修後半での
ロンドンでは、ロンドン郊外の
とある大学にて短期留学をする、みたいな形式で
デザインを学ぶ、という研修プログラムだったですが。

その大学は、泊まっていたロンドンの宿舎より
電車で数十分かかる場所にあったので、
引率をしていただいた先生より購入方法の指示を受けつつ、
期間内で使えるフリーパスのような切符を購入したけれど、
あるとき、その切符を無くしてしまったの。
たしか、ある美術館を訪れて、そして
訪れるときにはこの切符で電車に乗ったのですが、
美術館の鑑賞後、一人、次の場所に行こうとして、
駅で切符を出そうとするも見つからない。
ズボン及びかばんの中を探しても、無い。
おそらく、落としたか、もしくは
いつのまにかスリに合ってしまったか。
しかたがないので、その駅で、
その日の切符を買い電車へと乗りました。

次の場所では、先生たちと合流して、
切符を無くした旨を先生へ伝えようとしたのですが。
そのときに、ぼくは
「切符を無くしてしまったのですが、
 どうしたらよいですか?」
と言うと、先生は
「いや、わからない。」とおっしゃる。
ぼくは(あっ!)と思って、すぐさま、
「切符を無くしてしまって、旅行期間中で使える
 新しい切符を買いたいのですが、
 どういうふうに購入すればよいですか?」
と言い替え、伝えたんだった。すると、先生は、
購入方法を考えてくれて、無事に
新しいフリーパスの切符を買うことができました。

ぼくがさ、最初、
「どうしたらよいですか?」と訊いたときには、
たぶん先生は、無くした切符について、
どうしたら手元に戻るのか、とか、もしくは、
たとえば、警察に言うのか、とか、
を考えている、と思われていたやもしれないですが、
ぼくとしては、そうじゃあなくって、
新しい切符を買うことは決めていたから、でも、
その旨をきちんと伝えられていなかったので、
ぼくは(あっ!)と思ったんだけれども。

今、あらためてこのことを考えてみるとね、
ことばの使いかた、と申しますか、つまり、
問題の立てかたによって、
その先の流れが大きく変わってくるなあ、って。
たとえば、前者の
「切符を無くしてしまったのですが、
 どうしたらよいですか?」
の言い方では、問題があまりにざっくりしていて、
言われた側も困ってしまうだろう。でも、後者の
「新しい切符を買いたいのですが、
 どういうふうに購入すればよいですか?」
の言い方ならば、問題のポイントがせばまって、
その解決もしやすくなる。

つまりはさ、
問題をどう立てるのか、によって、
その先の流れが変わり、ひいては、
その未来も変わってくる、
ということも、ありうるやもしらない。

でも、それはね、
一番良い問題を立てることが大切だ、
ってゆうわけでもない、と思っているの。
たとえば、まずは
一度、問題を立ててみて、
それでうまく行かなければ、
新しい問題を立てる。つまり、
トライ&エラー、ってことなのかなあー。

そう考えてみれば、たとえば、
「ことばの力」ということも
よく言われると思うけれど、その力とは
「問題を立てる力」とも言い替えられるかもなあ。

なにかの「答え」だっても、
その前に「問題」が無ければ、
出てこないんだから〜。

令和5年5月30日


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