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「けっきょく、答えは何ですか?」と言ったこと。

高校生のとき、
ぼくは理系のクラスで、
数学は得意ではあったけれども、
国語が、とくに、苦手で。

たとえば、今でこそ、
本を読むようになって、
文章を読む、というのも、
するようにはなったけど。でも、やっぱり、
文章を読んで考える、というのは、
今もなお、むつかしいなあと思いながら、
当時を振り返れば、文章を読む、とか、
論理的に考える、とか、本当に苦手だった。

今でもなんだか覚えているのは、
高校の定期テストでね、
国語の答案が返却されて、
えーと、たしか、じぶんの答えは正解していたのに
バツをつけられていたか何かで、
返却直後の解説のあと、先生のもとへ訊ねに行って。
先生はさらに解説をしてくれながら、でも、
ぼくは、その解説をさえぎるかのようにして、
「けっきょく、答えは何ですか?」
と言ったら、その現代文の先生は、
「理系だなあ。」とのようにおっしゃった。

たとえば、数学の問題では、
答えや解法がはっきりと決まっているから、
これが、答えだ。みたいなものがあって。
でも、国語の場合は、
問題の答えはあったとしても、
こういう考えがあり、こういう論理があり、
だから、この答えに至った。
というようなことを、先生は
言われようとされていたのかなあ、
とは、今では思うけれども。
そのときのぼくはそこまで思えなくて、
とにかく、性急に、答えを求めていた。

そんなふうだから、
論理的に考えられないようなじぶんは、
その後、大学へ入学してから、
高校までは得意だと思っていた数学で、
挫折したんだった。

「けっきょく、答えは何ですか?」
と言ったぼくのことを、先生は、
怒らずに、カチンともされずに、
「理系だなあ。」と諭された。
という場面のことをね、
今でも、ときに、思い出すのよねー。

令和4年1月27日


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