見出し画像

【春】はうごめく。

【春】という漢字って、そういえば、
どことなく不思議な形だ。
下側に入っている「日」の部分はわかるとしても、
上の「屋根っぽい」のは、
どういう形なのだろうか。

【春】のほかにもね、
この屋根っぽいのが乗っている漢字、
あったかなあ? って考えてみれば、たとえば、
「奏でる」というのはそうだよなあ。
そのほかには何があるかなあ???

と思いながら、やっぱり、
漢字について気になったらば、いつものごとし、
白川静先生の『常用字解(第二版)』を
引いてみたい。。。

【春】 シュン/はる
もとの字は萅(しゅん)に作り、音符は屯(とん)。屯に純(じゅん/もっぱら)の音がある。屯は織物の縁(へり)の糸を結びとめた房飾りの形で、純のもとの字である。編み糸の末端を結びとめた形は冬となる。屯は織物の縁の糸を結びとめた房飾りの形であるが、この字の中では、寒い冬の間、閉じ込めた草の根を意味している。それが日の光を受けてようやく芽を出そうとする意味で、艸(くさ/艹。草)を加えて萅となる。春になると虫が動きだすので蠢(しゅん/うごめく)という。甲骨文字には四季の名を確かめる資料がなく、二千数百年前の金文に至って、春のもとの字の萅が現れる。

まずは、
「もとの字は萅(しゅん)に作り」での
【萅】はもしかすると機械依存の字やもしれません。
ことばで説明を申しますと、
【屯】という漢字の下に「日」を置き、
その一番上に「くさかんむり」を乗せた形です。

その【屯】とは、
織り物の縁の糸を結んだ「房飾り」の形。そして、
編み糸の末端を結びとめた形が【冬】。
【屯】という漢字は、寒い冬のあいだに閉じ込められた
「草の根」をあらわしていて。
その「草の根」が、日光を受けて、
ようやく芽を出す形が【萅】とのことでして。

【屯】と【冬】という「織物」の関係性、および、
【屯】と【日】と「くさかんむり」で【萅】。
ってゆうのは、どことなく複雑なようでもあるし。
でも、なんだかちょっとわかるような気もする。。。

「いとへん」に【冬】で
「終わる」という漢字になるのも、
また、意味がありそうだなあ。
「終」からのさらなる始まりとしての【春】。
みたいな?????

そして、さらにあらためて見てみるとね、
【春】に「虫」と「虫」で
【蠢く】というのはさ、
すんごい漢字だわねえ。まさに、
「うごめく」
という感じがするもん。

はたまた、
「甲骨文字には四季の名を確かめる資料がなく」
と書かれているのは、甲骨文字の時代にはまだ
「春」「夏」「秋」「冬」という四季のことばが無かった。
ということでしょうか。

中国の歴史には、甲骨文字の時代以降で、
「春秋戦国時代」という時代があるとぞんじますが。
いや、ぼくは歴史のことよく知らないけれども。
この「春秋戦国時代」という時代がさ、
どうして「春秋」という名称になったか???
というのを、ちょっと気になるところです。

金文の文字の時代になり、
【春】のもとの字となった【萅】が登場する。
とのことで。つまりはさ、
【春】という漢字ってば、
じつはけっこうあたらしい形だったのねえ。

「金文1」(トップの画像)の形での、
右下にある丸っぽい形は、なんだろう。
なんだか、芽とか? 葉っぱとか? お花とか?!
あ、太陽かな?????

そんな【春】には、
虫も、ぼくも、うごめきたい〜。

令和2年4月3日


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?