棺へ入れてあげたいもの。
父の納棺のさいには、
葬儀屋さんより
「棺の中へ入れてあげたいものが、
何かありましたら持って来てください。」
とのように言われまして。
何を入れようか? というのを、
母とふたりで、よくよく考えてみたのだった。
そうして、たとえばぼくが思ったのは、
父は囲碁が好きだったですが、
その父が、囲碁の本を持っていたよなあ。
と思いながら、
家のどこにあったっけ?! と探しつつ、
すこしのあいだ探しながら、ようやく見つけて、
その本を棺へとおさめてもらったの。
また、母が考えたのは、
このまえのブログでも書きましたが、
父はサラリーマンとして長年勤めたので、
仕事で着ていた
スーツとネクタイを持ってゆきまして。
それらを、父の体の上へと重ねてあげた。
ずっと着ていたからさ、
スーツはよれていたし、
ネクタイも、結び目のところはよく触るので、
すこし黒くなっていて。
だからこそ、その姿を見ながら、
お仕事、お疲れさま。
という感情が昂ぶった。
またさらに母が思い出したのは、
父は以前、福岡県のゴルフ場にて
ホールインワンを出したことがありまして。
そのときのスコア表と証明書を入れてあげたい。と。
ぼくも、それを聞いて、
それはなんだか素敵だなあと思って。
囲碁の本と一緒にね、
父の腕のところへ添えてあげた。
この「棺へ何を入れるか?」を考えたとき、
父のこと、および、
父は何が好きだったのか?
父は何が大事だったのか? を、
あらためて、よくよく考えたんだった。
令和2年11月25日