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「訊く」という慣習から。

先日の衆議院選挙にて、
あるテレビ局の選挙特番では、
爆笑問題の太田光さんが司会をされて。
その太田さんの司会ぶりに対して、放送後、
批判が相次いだ、のことについて、
ぼくはそこまでの批判は思わなかったな。

選挙特番をね、ぼくは、
いろいろチャンネル変えながら見ていたから、
太田さんの番組をしっかりと
見ていたわけではないけれども。
たぶん、太田さんのいつものような、
はちゃめちゃなことばづかいで言われる、というのは、
問題はあったのやもしれないけれども。
それよりも、もっと、なんとゆうか、
これまでの選挙特番の伝統や慣習を変える、
みたいなことも、感じたんだよね。

これまでの選挙開票のテレビ番組って、たいてい、
当選した候補者、及び、落選された候補者、
そして、各党の代表者と中継をつないで、
「今、どういうお気持ちですか?」的な、
番組司会者がインタビューのように質問をして、
候補者や代表者が、その質問に答える、
というのが慣例となっていて。
どちらかと言えば、候補者や代表者に対して、
「質問」ではない、
なにかしらの意見を「言う」、というのは、
なかったように思われる。

でも、太田さんの選挙特番では、
これまでの選挙特番の常識を変えるかのごとく、
太田さんが、質問として「訊く」ではなくって、
太田さんのご自身の意見を、
政治家へ「言う」というのが、
番組のコンセプトになっているように思ったのよね。

番組の中で太田さんが言われていたのですが、
太田さんはある野党へ投票されて、なので、
野党寄りの考え方ではあると思うけれども。
だから、太田さんのことばづかいだけでなくって、
選挙特番の慣例を変えようとしたこと、
プラス、中立的な立場からではなくて、
野党寄りの意見を言おうとしたこと、に対しても、
反発があったのかもしれない。

とは言っても、たとえば、
番組の司会者だっても、
ある候補者やある党へ投票しているのだから、
ほんとうのほんとうに中立的な意見って、
あるのかどうか? というのは横に置いておいて。

でも、この、
「訊く」ではなく「言う」、というような、
番組のコンセプトが生まれた経緯だっても、
おそらくは、現首相が就任時に言われていた
「聞く力」ということばを受けて、
のことだったのやもしれない。とも推測する。

そういうような、「言う」について、
忖度も何も無しで行うというのは、
ある意味ではむつかしいとも思われて。
だから、何をしでかすかわからないかのような、
トリックスター的な存在の、太田さんが、
司会をされるようになったのではないか。

‥‥というふうに考えてみたんだけれども、
これは個人的な想像なので、ぜんぜん、
ちがっているかもしれないですが。

考えてみれば、たとえば、
政治家が出演されるテレビ番組でも、
政治家が何かを「言う」ことはあったとしても、
政治家に対して何かを「言う」ような機会って、
あんまり無いとも思う。

衆議院選挙から幾日か時間は経ったですが、
なんだか、その後、こういうようなことを、
考えていたんだよねー。

令和3年11月30日


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