見出し画像

ぼくらが【旅】に出る理由。

【旅】という漢字は、どことなく
形がむつかしい、というか、たとえば、
斜めの線が多かったりして、
字のバランスが複雑、というか、
何年生で習うかは知らないけど、
習った当初にもうまく書けたためしはないし、
言うならば、今でも、うまく書けないな。

そんな、でも「旅」とは、この
【旅】という形じゃあなければ!
とも想いながら、今回はさ、
【旅】の漢字を調べてみたい〜。

なのでもう、
さっそく、白川静先生の
『常用字解[第二版]』を紐解きますと、、

【旅】 リョ/たび
会意。えんじゅうとを組み合わせた形。㫃は吹き流しをつけた旗竿はたざおの形で、氏族旗をいう。从は左向きの人が前後に並ぶ形で、従(從)のもとの字。氏族旗を掲げて進む氏族の軍団を旅、遠くへ出向することを旅といい、「たび、たびする」の意味となる。氏族として行動するときは氏族旗を掲げて行動した。氏族旗のもとで誓約する儀礼を族といい、氏族霊の宿る氏族旗を掲げて出向することを遊という。古くは山や川の神を祭るため、あるいは分社を祭るときに旅をした。

‥‥とのことでして。

【旅】とは、
氏族旗という旗を掲げた
氏族の軍団が遠くへ出向すること。
この「氏族」とは、
『精選版日本国語大辞典』によれば、

し-ぞく【氏族】
1. 同じ祖先から出た一族。一つのうじに属する人々。うから。やから。
2. 特に、未開社会の生活単位であった血族集団。共同の祖先を持つ諸家族で構成され、その祖先の直系を首長(氏の上)とする社会集団。うじ。

と書かれているので、
つまりは、血族の人たちが、
氏族旗を掲げながら行動していたことが、
【旅】の語源らしい。

そしてまた、『常用字解』の【旅】の欄では、
いろいろな漢字のことが登場していて。
たとえば、
【従(從)】とは、
「人」に形がふたつ並んでいる、つまり、
左向きの人が前後に並ぶ形を示している
【从】という字だったこと。
【族】とは、
氏族たちが掲げる氏族旗の旗のもとで、
誓約をする儀礼のこと。
【遊】とは、
氏族の霊が宿る氏族旗を掲げて、
出向すること。

とくにはさ、
【遊】という字が、
「氏族霊の宿る氏族旗を掲げて出向すること」
というのは、ちょっと驚きだなあ。
でも、考えてみれば、
「遊牧民」という人たちもおられるのだから、
わかると言えば、わかるような気もするなあ。

こうして、
【旅】という漢字を眺めながら、
「旅」へ行けたいなあと考えている。

ぼくらの住むこの世界では、
「山や川の神を祭る」や「分社を祭る」という
【旅】に出る理由があり、
誰もみな、手をふっては、しばし別れるぅ〜。

やさしさも、甘いキスも、
後から全部ついてくる。
ということばを想いながら、
ぼくには【旅】に出る理由なんて、何一つない!

(飛び出せ ハイウェイ!!!)

令和4年1月13日


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?