門

【門】という境界線。

漢字の成り立ちを調べたいときには、ぼくは、
白川静先生の『常用字解(第二版)』を引くのですが。

こんかい、せんじつのブログで申しあげました
「もんがまえ」の漢字をすこし調べてみまして。
それでね、たとえばナチュラルの
【門】という字は、
「両開きの扉の形」とのことで。
たしかに、そんな形っぽいなあ。

また、このほかにもね、
【問】という字は、
「『門』と『口』とを組み合わせた形。
 神を祭る戸棚の両開きの扉に
 『口(さい:祝詞(のりと)を入れる器)』を置いて、
 神のお告げを求めること」でしたり。

【開】という字は、
「『閂(さん)』と『廾(きょう)』とを組み合わせた形。」
「廾」とは「左右の手を並べた形」で、
「閂」の中の「一」という
「門をしめるための横木」をとりはずして、
両手で門を「ひらく」の意味。でしたり。

【閉】という字は、
「『門』と『才』とを組み合わせた形。
 『才』は表示として樹(た)てた目印の木。
 これを門に樹てて、門の内外を分ける
 呪禁(悪邪を祓うまじない)とすること」でしたり。

【間】という字は、
「『門』と『月』とを組み合わせた形」ではあるものの、
「門の中に月影のある形であるという解釈は誤り」であって。
「祖先を祭る廟(みたまや)の門に
 『肉』を供えて祈る
 何らかの儀礼を示す字であるらしく」て。そして、
「内外をへだてる意味がある。」とのこと。
つまりはさ、【間】の中の「日」の形は、
本来は「日」でなくて「月」であって、
その「月」も「星の月」でなくって、「肉」だった。

【聞】という字は、
甲骨文字の字形では
「つま先で立つ人を横から見た形の上に大きな耳をかいて、
 聞くという耳の働きを強調した形」であって。その後、
「戦国時代(紀元前五世紀〜前三世紀)に至って、
 音符の門(もん)を加えた『聞』の字形になった。」とのことで。
また、
「古代の人は、耳には
 かすかな音で示される神の声を聞く働きがあると考えた」、
そして、
「神の声、神の啓示(お告げ)を聞くことができる人が『聖』で、
 聖職者をいう。」というのが、
なるほどなあ、と思いました。

この「聖」という漢字もね、
「耳」と「口」と「王」という形が組み合わさっていて、
どことなく厳かな雰囲気がするもん。

このような感じでね、
「もんがまえ」の【門】という形は、つまり、
「こちら側」と「神様がおられるむこう側」とを
へだてる「扉」のことで。つまり、
「境界線」の意味なのでしょう。

この「境界線」の上に「なにが在るのか」、
はたまた、「なにを置くのか」というのが、
「もんがまえ」の漢字の由来なのだろうなあ。
と思いました。

令和元年10月21日


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