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引き継がれるようにして。

先日のブログでも申しました、
2014年発行の内田樹さん著『街場の戦争論』では、
司馬遼太郎さんが「ノモンハン事件」について
小説を書こうとして、ついには書くことはかなわなかった。
とのように記されていて。あらためて、
内田さんのおっしゃるこの部分を読みながら、
ぼくは、また、あらためて、
村上春樹さんの小説『ねじまき鳥クロニクル』での
「ノモンハン事件」の描写のことを思い出していた。

そう言われてみれば、ぼくはさ、
完全には思い出せないんだけれども、
村上さんの『ねじまき鳥クロニクル』では、
どういうような物語の経緯によって、
「ノモンハン事件」のことが描かれていたのだっけ?!
たしか、「本田伍長」や「間宮中尉」という人物が登場して、
と、ここでね、部屋の本棚にある
『ねじまき鳥クロニクル』の文庫を開いてみれば、
「第1部」の最後にて、
【間宮中尉の長い話・1】【間宮中尉の長い話・2】
というふたつの章がある。

今は目次と該当する章の頁をぱっと見ているだけなので、
どういう流れでこれらの人物が登場したか、というのも、
あんまり思い出せないですが。そのなかには、
もう、なんとも、思い出すのもつらい、そして、
ここで書くのにもあまりにも痛々しくて書けない、のような
あのシーンが、小説を読んだ方には
「あのシーン」でわかってもらえるとぞんじますが。
このシーンを通過しないといけない、と思うと、
小説の長さと重厚さもあいまって、なかなか、
再読も躊躇してしまうのですが。
でも、いつか、また、じっくり読みたいけれども。。。

内田樹さんの『街場の戦争論』の中には、
たぶん、記されていなくて、なので、
内田さんの他の著書だったやもしれないのですが。
つまり、司馬遼太郎さんの描くことができなかった
「ノモンハン事件」を、たとえば、
村上春樹さんが引き継がれるようにして、
父から子へとバトンを渡されるようにして、
この小説が描かれた。という、だったでしょうか?????

ぼくは、そういえば、
「ノモンハン事件」という名称すら、
村上さんの『ねじまき鳥クロニクル』を、
今から十数年前の20代中盤ごろに読んでから、
知ったぐらいの無知なのですが。
あぁー、これで思い出したけれども、
中学のとき、理科の先生(夏目先生)が、
どういう話しの流れで言われたかは憶えてないけど、
タレントの「ガダルカナル・タカさん」の芸名が
大戦の激戦地「ガダルカナル島」からつけられて、
そういうのは、けしからん、と仰っていた。
ぼくとしては、そのときにね、
「ガダルカナル島」のことを知って。
でも、それが、けしからんのかどうかは、
まだ判断できてないけど。
べつに、よいじゃん、とも感じつつ、いや、
そういう価値観だってもありうるかもなあ、
ってゆうのも、また、ちょっと想いつつ。。

村上春樹さんが、どのような経緯によって、
小説の物語として
「ノモンハン事件」が登場されてきたのか。
というのも、ぜんぜん知らないんですが。
このことだっても、もしかしたら、
ぼくがこのまえのブログで書きました、
「太平洋戦争の敗戦によって、この今の生活が、
 どのように影響されているのか?」
のうちの、ひとつなのだろうなあ。
って思われる。

クレタ島とマルタ島。ナツメグとシナモン。満月と日蝕。
ロッシーニの泥棒かささぎ。六本の指と四つの乳房。
高い塔と深い井戸。井戸と星。

笠原メイは椅子から立ち上がると、
ショートパンツのお尻についたほこりを手ではたいた。
そして僕の顔を見下ろした。
「ねえ、ネジマキドリさん、井戸を見たくない?」
「井戸?」と僕は訊いた。井戸?
(村上春樹さん著『ねじまき鳥クロニクル』第1部、新潮文庫、122頁より。)

井戸?

令和3年8月21日


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