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まなざしは闇を切りさいて。

たしかなもの、的な意味の
「折り紙付き」ということばは知っていたけれども。
そういえば、どうして「折り紙」なのか?
みたいな、そのくわしい語源とかは、
ぜんぜん考えたこともなかった。

先日、テレビを観ながら、
たまたまチャンネル変えていたら、
Eテレ『先人たちの底力 知恵泉』という番組で
「日本刀」が特集されていて。この番組の中でね、
「折り紙付き」について説明されているのを観ながら、
なるほどぉ、って思ったのよね。
番組によれば、武士の時代、
刀の価値を証明する鑑定書として、
豊臣秀吉が「折紙」の発行を許可されて。
それが、今の「折り紙付き」ということばの
語源になっているらしい。

「折り紙付き」とは、
そんな昔から、そして、さらには
「刀」が関係しているなんて、
想像もしていなかったな。

ぼくの中で「折り紙付き」と言えば、
くるりの2018年リリースシングル
『その線は水平線』の特典として、
「折り紙」が封入されていたことなのですが。
ぼくが購入したのは、折り紙、何色だったかなあ?
って、棚からCDを取り出して見てみると、
「ピンク」だったけれども。
『その線は水平線』という曲では、その歌詞の最後で
【まなざしは闇を切りさいて】
と歌われていて。そう思えば、
この【切りさいて】という歌詞って、
どことなく「刀」を思わせる。

つまりはさ、
『その線は水平線』とは、
闇を切りさく「刀」のような曲なのやもしれない。
と、そんなふうに思ってみれば、
CDの特典として「折り紙」が封入されていたことも、
この「折り紙」とは、かつて、
「刀」の価値の鑑定書として
「折紙」が発行されたかのごとく、
闇を切りさくことができる「刀」、という、
証明書だったのかなあ。

くるりの『その線は水平線』で思い出すのは、
シングルがリリースされたころ、
たまたま、村上春樹さんの
小説『国境の南、太陽の西』を読み返していて。
その小説の中では、
【彼女の瞼についた一本の小さな線は、
 あいかわらず僕に遠くの水平線を思わせた。】
という一節があることに気がついて。

僕はときどき彼女の瞳を覗き込んでみた。でもそこには穏やかな沈黙があるだけだった。彼女の瞼についた一本の小さな線は、あいかわらず僕に遠くの水平線を思わせた。(村上春樹さん著『国境の南、太陽の西』講談社文庫、197-198頁より。)

これって、つまり、その瞼の「線」って、
『その線は水平線』のことじゃん?!
と思ったんだった。

どうか、
閉じたあなたの瞼が、
ふたたび開いて、闇を切りさいて、
太陽がさんさんと涙乾かしますように。

君の前では 笑顔でいたいのぉー

令和3年7月18日


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