令月

「令」について。

新元号が発表された瞬間、
じぶんはどう思ったんだっけかな。
もう二週間前のことだから、あんまり覚えていない。

なんかよさそう、と思った気もするし。

でも、「令」は「命令」の「令」じゃん! とは、
口に出して言った気がする。

新元号のもとになった「令月」ということばの出典が、
「万葉集」なのか、もしくは、
中国(後漢)の『文選』という詩文集からの引用なのか、
というむつかしいことはぼくにはよくわからないけれども。

まずは、白川静さんの常用字解(第二版)でね、
「令」の字を調べたんだった気がする。すると、
「令」の甲骨文字の形は、、

画像1

‥‥というふうものらしくて。
(↑じぶんで書いてみたシリーズ。)

説明によれば、、

深い儀礼用の帽子を被り、跪いて神託(神のお告げ)を受ける人の形。神の神託として与えられるものを令といい、「神のおつげ、おつげ」の意味となり、天子など上位の人の「みことのり、いいつけ、いいつける」の意味となる。甲骨文字・金文では令を命の意味に用いており、令が命のもとの字である。令は神のお告げを受け、神意に従うことから、「よい、りっぱ」の意味となり、また使役の「しむ」の意味にも用いて、命と分けて使うようになった。

‥‥とのこと。つまり、この甲骨文字の形とは、
「ひざまずいて神のおつげを受け取ろうとする人。」
てゆうことのようです。

また、用例といたしましては、

「令嬢」貴人や他人の娘を敬っていう語
「令息・令子」他人の息子を敬っていう語
「令室」他人の妻を敬っていう語。令夫人
「令聞・令名」よい評判
「君令」天子や君主の命令
「指令」指揮命令すること。さしず
「命令」下位の者に対して、言いつけること。また、その内容

とあります。。。

そしてまた、「令月」ということばもねぇ、
ぼくはこのとき初めて知ったので。こんどは、
広辞苑(第七版)で「令月」を引いたんだよね。

(トップ画像は、広辞苑での「令月」のページです。)

そうすると、、

れい-げつ【令月】
1)万事をなすのによい月。めでたい月。和漢朗詠集「嘉辰−」
2)陰暦二月の異称。

「よい月」「めでたい月」とあって。
「令」にはさ、これはテレビでも言っておったですが、
「よい」や「めでたい」という意味もあったんだなあ。
ってえのをこのたび初めて知ったのよね。

でも、かと言って、
「命令」や、「指令」や、「君令」や、
「徴兵令」や「召集令状」といったような意味も
「令」にはあるにはあるわけだし。
幕末のころ、「令徳」が
「徳川に命令する。」という意味にも取れるから、
という理由で元号不採用になった。とも、
言われているみたいだし。

だもんで、「よい」も、「わるい」も、
どちらのほうにも受け取れるような、
ある意味ではあいまいなことばなのかもしれないねえ。

だからこそ、
「わるい」側のほうへは傾いてゆかないように、
「よい」側の方向へ向かえるように。。。

と、そんなことを、今、思っているっす。

平成31年4月16日


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