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怪奇現象の夜。

昨日の夕方ごろ、パート先の学習塾にて、
小学校低学年の生徒さんが
「きょうは8時までに家に帰らないと!」
と言っていたので「なんで?」と訊くと、
「カイキゲンショウを見るから。」
とのことでして。

なるほどぉ、それはさ、
「怪奇現象」じゃあなくて、
「皆既月食」だけどね。とは言うものの、
さらに生徒が言うには、
地球のカゲにかくれて月がかけるんだよね?!
って言うからさ、
おー、そうそう、くわしいじゃん。
学校の先生に教えてもらったの???
と、また訊ねてみれば、
うんうん、ともだちから教えてもらったの。
とのことでして。
友達、すごいじゃん! ってぼくも言いながら、
彼は塾から帰って行った。

でも考えてみれば、この生徒の言うように、
月がいきなり欠けるなんて、
「怪奇」だとも思えるし。そもそも、
ぼくだってもね、いつごろだったか、
皆既月食や皆既日食の「皆既」のことを、
「怪奇」だと思っていたわ。

それを、さらに、「皆既月食」を
「怪奇現象」って言うのはさ、
ぼくはこれまで思いついたことなかったので、
その言い間違い、ぎゃくに、すごい。
って思ったのよね。

そして、ちょうど皆既月食の終わる時刻のころに、
ぼくの勤務時間が終わり、
空を見てみればけっこう曇り空だったので、
あぁー、見られなかったかもなあー。
とも思いながら、21時ごろ帰宅して、
また空を眺めれば雲の合間から、
すこしひしゃげた月が顔を出していた。

この月が、さっきまで、
厚い雲のうえで怪奇現象のごとく、
赤く染まっていたんだろう。

そんな月を感じながら、ぼくは、
サカナクションの
『ユリイカ』を聴きたくなっていた。

時が 時が 時が 時が 震える
月が 月が 月が 月が 消えてく

令和3年5月27日


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