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【マチメグリ】HBPワールドツアー訪問記:世界一の美食都市、サンセバスチャン訪問記(2015/5/6公開)

尾家先生のコーディネートの美食の旅に参加し、以前からいってみたかったバスク地方のサンセバスチャンを2016年8月に訪問。時間がたってしまって忘れかけの訪問記録です。また行きたいと思えるすばらしいまちでした。

ドノスティア/サンセバスチャン
もともと避暑地として栄えていたサンセバスチャン(バスクでドノスティア)が、世界一の美食都市として有名になったのはこの20年。20万弱のまちにミシュランの星が16個、3つ星が3店舗あり、まちのどのお店で食べてもそのクオリティが高い、なんでだろう?レシピをオープンソース化して皆で教え合う、食や料理を科学して最新の技術でメニュー開発する、料理専門の大学バスクカリナリーセンターを設立し食に関する人材を育成する、などの複合的な動きの成果らしい。もともとのリゾート地の恵まれた風景やインフラを活かして、食を圧倒的に魅力的にして、あまりお客さんが来ていなかった状況をまちぐるみで儲けられる状況にしていく挑戦。大学も調理を教えるだけでなく、ツーリズムとの連動、食に関連する最新技術や食産業の発展など、継続的に地域経済を牽引していくようなカリキュラムが組まれている。今年は欧州文化首都に選ばれ国内外にPRされ、特にフランスとドイツから多く観光客が来ているとのこと。まちはコンパクトでリゾート感満載で本当に気持ちがよい。

サンセバスチャン観光局-食べる

https://www.sansebastianturismo.com/en/eat/food-experience

サンセバスチャン市

http://www.donostia.eus/taxo.nsf/fwHome?ReadForm&idioma=eus

まちの地図

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まちの風景

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旧市街に隣接するビーチ。旧市街のバルには、ビーチで泳いでからすぐくりだせる(左)

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ビーチとマリーナにに隣接する市役所、最高の立地。この目の前から今週は毎日花火が上がる(左)

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旧市街地の目の前の海では子どもたちがはしゃぐ(左)

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昼間の街並み、上層部は住居やゲストハウス(左) まちの所々にこのような遊具が設置(右)

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海と旧市街地の間のGATE(左) 半島沿いには仮設遊園地が出現(右)

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3つの特徴あるビーチはまちの目の前(左) 自転車での移動も便利(右)

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子どもたちがいても大人は楽しみます!(左) みんなの目線の向こうは花火(右)

アート作品のようなピンチョスの数々!
お店ごとに人気メニューがあるそう。ある店で聞いたらメニューは100種類を超えているけどわからんとのこと。1軒で楽しむ、または4〜5軒はしごして、飲んで食べてとっても美味しく3〜4000円程度。旧市街の約200軒のバルが切磋琢磨していて、人気店は注文ができないほど人だかりができている。何食べてもおいしく美しい。まさにアート作品。

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ギャラリーインサイドーツアー
案内人の彼女はアート好き、いくつかのギャラリーを巡りながらのツアー(65€)に参加。

サンテルモミュージアムは多文化共生、持続可能性、人権などがテーマ。昔の歴史、バスクの社会について語っている。12の絵は昔の12世紀のサンセバスチャンの漁港と社会の姿。バスク人はどこから来ているのかわからない。みんなが今でも話すバスク語は、西ヨーロッパで唯一生き残っているインドヨーロッパ言語でない孤立した言語。文字を持っていなかったので次の世代に口で伝えていた。
この建物は修道院だったところで、以前は軍隊が駐在していて、20世紀に国宝になった。大きな人形はバスクの地方ならどこにでもあるジャイアント。昔のバスクの職業を表していて、クジラ取り、農業、ピエロ、保育士など。

川を渡って東側は、昔は何もなく砂丘だったところで20世紀にできた街。冬は特に波が強い、サーフィンの名所。昔たくさんのカジノがあって、そのひとつの跡に「クルサール」というホールが1999年に完成した。国際映画祭やジャスフェスティバルはここら周辺で行われるらしい。最初は市民に人気なかったが今は市民のお気に入り。
彼女の好きなギャラリーめぐりとまち案内の最後は地酒チャコリーで乾杯!

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事務所にてツアースタート(左) サンテルモミュージアム(右)

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ジャイアントの数々(左) 川の向こうがクルサール(右)

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ギャラリーめぐり(左・右)

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彼女の友人のアーティストを訪問してシルクスクリーン体験(左)

ピンチョスツアー
今回の案内人は地元で記者をしている彼。数人でチームを組んで案内しているそう。5軒はしごして1店舗で1ドリンク&2ピンチョス、最後の店はデザート、で1人65€。安すぎる!

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食べ歩きが好きなのが表情にあふれ出る案内人(左)

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まだ明るいうちから店をまわる(左・右)

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食べて飲む!全部おいしい(左)

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夕方になると人がどんどん増えてくる、と思ったらお祭りだった(左・右)

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デカ顔のキャラが子供を袋でたたいてお菓子をあげる(左) バスクの伝統的な模様、バスク十字(右)

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さすがにおなか一杯(左) シメはジェラートで(右)

りんご酒を樽から飲む
バスクの伝統的なお酒であるりんご酒。瓶詰めする前のりんご酒を、大きな樽から直接ついで、泡をたたせて香りを楽しみながら飲むということらしい。一緒にビーフのステーキでいただきました。りんご酒を樽から注ぐのがスポーツ感覚でおもしろい!

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これらの異なる樽から栓を緩めるとりんご酒が勢いよく飛び出す、それをグラスでキャッチ(左・右)

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すごいボリューム(左・右・下)

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個性的なリキュールたち(右)

マルティン・ベラサテギ
ミシュラン3つ星のベラサテギに行ってきました。郊外の一軒家をリノベしたレストラン。おいしかったのはもちろん、今まで体験したことのないものもあり楽しめました。サービス精神旺盛で、すべての席にベラサテギさんが話しかけにいったり、写真を撮ったり。遅くまで楽しんでいたら、特別に厨房を案内してくれ、そのあと建物の下の階にある彼が出演する料理番組のセットまで見学させてくれました。当日のメニューを少しご紹介。メニューは翻訳できないのでそのまま掲載しておきます。

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ゆったりした空間の店内(左) 2016 caviar and turnip with pork shank broth cubes and lemon(右)

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2001 Vegetable hearts salad with seafood,cream of lettuce and iodized juice(左) 2016 Green and black olives with beef,caper and musrard(右)

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2016 Red mullet with edible scale crystals,fennel with saffron and liquid baby squid bonbon(左) 2016 Lemon with basil juice,green bean and almond(右)

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ベラサテギさんと一緒に記念撮影(左) 下階の料理番組のセット

欧州文化首都2016
毎年キャラバンを続ける欧州文化首都、2016年の開催地にポーランドのヴロツワフとともにサンセバスチャンが選定されていて、各種プログラムが行われていました。サンセバスチャンのテーマは「共生と共存」。多様な言語と文化が共に生きる環境自体を、一つの文化として捉えようとする試みで、「政治的、民族的争いをいさめ、平和と共生をもたらすために『文化』」を利用するとのこと。プログラムには参加できなかったけど、食のプロジェクトも行われていました。

欧州文化首都2016(サンセバスチャン) http://dss2016.eu/eu/web/guest/inicio

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コンチャ湾クルーズ
美しい半島とビーチを海から楽しむ、1時間弱のコンチャ湾クルーズ。リゾート地です!

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バスクカリナリーセンター
まちぐるみで食文化を発展させるため、スポンサーとなる企業、官も民も一体で教育機関をつくるという主旨で2011年オープン。食物や飲物、厨房機器、料理だけでなく料理を使って観光をどう発展できるかを担っていく。

毎年100人入学する。初年度は集まりすぎて380人が入れなかった。モチベーションがある人物を選ぶ、国際的なお客さん対応などから英語の語学力は必須、英語ができないと学べることが限られるから。半分は外国人、日本人は1人いる。先輩は後輩の責任者になり、代々ウェイターやキッチンの指導をする。常にグループで仕事をさせ、グループに対する責任を高める。
インとアウトは分けて、1年目の学生は基本的なことを学ぶ。理論が圧倒的に多く、マイクロバイオロジー、衛星教育、栄養など、厨房には20日しか入らない。料理の理論を学んだ後に実技で練習。

3年目からは専門的な最新の技術を学び、ミシュラン星のレストランが使っているもの、窒素を使った料理法、乾燥の技術から新しいレストランの設計演習、レスストラン経営、食産業、観光産業までを学ぶ。
バスクでなぜ料理発達しているか、それは自分たちの知識をオープンにしているから。
いや~すごい。
BASQUE CULINARY CENTER
https://www.sansebastianturismo.com/en/eat/basque-culinary-center


最近、外の人を受け入れて、学内ガイド&ピンチョス調理体験のツアーを売り出したとのことで、それに参加してきました。行政の資金に加えて様々な民間食関係企業の名前がずらり。夏の休みの期間で学生はいませんでしたが、徐々にこのような取り組みをして発信していくようです。

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バスクカリナリーセンターの入口(左) 施設構成(右)

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協賛企業(左) 料理内容に応じた教室がぞれぞれ用意されている(右)

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ピンチョスつくり体験(左) 成果品!(右)

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成果品2(左) 卒業証書(右)

バスクの食コミュニティ
今回通訳をしていただいたヨンさんから、バスクの美食倶楽部という独特のコミュニティについて教えてもらった。
美食倶楽部とは会員制の組織で、女人禁制で男性しか入会できない。彼の田舎の小さな2万人のまちに26あって、彼が属しているのは100人くらいで大きい方らしい。80年続いている。料理を友達と一緒に競い合ってつくり食事と料理談義を楽しむ。バスクでは家では女性が料理をつくり男性は弱い立場?で、食べるのが好きなバスク男性が仲間と料理しながら楽しめる場をつくったのだそう。もともと男たちだけの会だったが、時代が変わり今は女性ばかりの会もあるとのこと。
大人になったら入ることができて、入会金や会費を払い、会員になると鍵を持つことができ、各美食倶楽部で確保している部屋に入り使うことができる。自分の子どもが大人になったら権利を移すこともある。誕生日などで家族や友達を呼んで楽しむこともできる。食べるだけでなく、まちのお祭りの手伝い、スポーツイベントの警備、美食倶楽部の連合や市役所と連絡とるなどの役割もある。部屋に置いてある飲み物や缶詰は自己申告制でごまかさない、信頼によって成り立っている。住んでいる地域の人はその存在をだいたい把握しているそう。
彼は、バスクと日本は男女の関係や食べ物好きなど似ていることが多く、この美食倶楽部も日本人にあっているのでは?とのことでした。なるほど、確かに。


サンセバスチャンでは子ども達が料理人になりたい!と言って人気の職業らしいです。ゲストハウスの兄ちゃんも自分が好きなバルやレストランをうんちくつきで教えてくれました。

この本を呼んでから行くと、より楽しめると思います。

高城 剛 『人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか―― スペイン サン・セバスチャンの奇跡』 祥伝社新書

ひで

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