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【リレーコラム/ハートビートプランの”ものさし”】vo.003_有賀敬直『不寛容さを産む免罪符にはしたくない』(2020/06/01公開)

世界はどう変わっていくのだろうという議論があちこちであがっている。

僕自身、自宅で仕事をすることにより、昼間に子どもと自転車の練習が出来たり(乗れるようになった!)、家の近くを散歩して今まで知らなかった出会いがあったり(家の近くの道は全て通った!)、悪いことばかりでもなかったように思う。

一方で、ある種の抑圧的な状況が生み出す歪みみたいなものも感じた時間だった。他者を警戒し、自分のエリア(あるいはまち)に入ってくる人を知らず知らずのうちに目で追ってしまう。自分自身にもこういう行動があった。

もちろん社会的距離の確保や行動が制限されていることの意味はあったことは事実だと思う。ただこれからの世界を考える上で、公共空間に関わるものとして、適正な距離を保てるデザインを考えれば良いのか、自分の街の豊かさだけを考えれば良いのかという訳ではないし、何より今回のことが他者の存在や行動を否定することや、まちの、場所の不寛容さを産む免罪符にならないようにしなくてはならないと思う。

そして、今までも少なからずそのような風潮があったのではないかと思う。

それが加速しないように、もっと軽やかに距離を越えていきたいし、領域へ踏み込む、踏み込まれることに寛容でありたい。密度高くいられる人との関係や、どこにでも行くことのできる自由、お互いの領域が重なる化学反応こそが不要不急ではない、僕たちの生きる上での本質的な価値だとあらためて思う。

有賀敬直

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【ハートビートプランの”ものさし”とは?】
まちや都市、生活や自分自身をめぐって、各自が感じたこと・行ったこと・考えたことを記録し、ハートビートプランの”ものさし”を可視化していくためのリレーコラムです。

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