間違えがちなフランス語 1. 単語編(マガジン版)

フランス語の単語を覚えるとき、辞書を引いたり、単語帳を開いたりといろいろな方法があると思いますが、意外なところに落とし穴があるものです。

たとえば "café" という単語、「カフェ」や「コーヒー」を表すのはもちろんのことながら、"un café" と言えば普通「エスプレッソ1杯」のことです。
このように、フランス語と日本語の単語は決して一対一対応にはなっておらず、どんな単語でも、日本語訳に囚われすぎずに注意深く覚える必要があります。

他にはどんな例があるでしょうか?早速見てみましょう。

料理=cuisine ?

日記や作文の添削などをしていると、このような文章をよく見かけます。

* Hier, j'ai mangé la cuisine chinoise.

「昨日、中華料理を食べた」と言いたいのはわかるのですが、残念ながらこういう言い方はできません。日本語で「料理」は幅広い意味を持つのに対し、フランス語の "cuisine" はあくまで “総体”、言い換えれば “ジャンル” としての料理を指します。

よって "j'aime la cuisine chinoise" とは言えても " *je mange la cuisine chinoise" とは言えないのです。ジャンルは食べられないですから。

なのでこんなときは、"plat", "repas" など、「料理」の意味を持つ他の単語を使います。

Hier, j'ai mangé des plats chinois.

あるいはお店で食べたのなら

Hier, j'ai mangé dans un restaurant chinois.

とすれば違和感ないですね。

着る

「着る」にもいろいろ。「彼はコートを着ていた」はどのように言うでしょうか?「着ていた」なので "mettre" を半過去形にして、

Il mettait un manteau.

これで間違いではありません。ただ、たぶん想像していたものとは違います。これだと彼はコートを「着ている最中だった」のような意味になってしまうのです。なので次のようなときにしか使えません。

Quand il mettait son manteau, il s'est rendu compte qu'il avait oublié son chapeau.
コートを着ていたとき、彼は帽子を忘れていたことに気づいた。

単純にコートを「身につけていた」だけなら、"porter" を使ってこのように言います。

Quand je l'ai croisé dans la rue, il portait un manteau.
道ですれ違ったとき、彼はコートを着ていた。

「コート」だけじゃなく「帽子」や「メガネ」などでも同じ。mettre は “身につける動作” で、porter は “身につけている状態” です。

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