見出し画像

猫は中央改札で希望と死んだ

こんばんはです!(=^ェ^=)ニャー

やめて欲しいこととやめて欲しくないことがこの世にはあります。夜窓の外をみると、送り火の灯篭が走馬のように駆けていきます。

満月のような落としかけの生卵がありました。私は月を見るとじんかんの虚しさを悟ります。

送り火と言いましたが、人が一人消える時、プラズマが夜を走ると言います。蝙蝠のように宙ぶらりんに、人は送電塔にぶら下がっています。

まるで達磨のようだと誰かが言いました。人間のシナプスが列をなして旅人の振りをしています。

僕はそっと傘を差し出しました。ある人は笑い、ある人は鏡の中へ消えていきました。

僕は突然、手についている夢の血を拭い、大きな涙を流しました。また誰かに呼ばれたような気がして、後ろを振り返ると反射の螺旋へと吸い込まれます。

確信したのは、自分が消えかけていると言うことです。響いた映像は、訳もなく心の奥深くにしゃぶりついてきました。

根を張っていた花の茎を折るように、どこからともなく八百万の欲が笑い声をあげました。そしてまた、人格の狭間で希望がプレスされました。

不協和音の連続です、意味の無い詮索の減速です。ネジを落としたカラスの子供が、レジャー帰りの車に踏み潰されました。

命の価値はタンポポの綿毛のようでした。枯れたミミズは土とアスファルトの狭間でスパイクに踏み潰されました。

今度はあなたの番です、あなたは今まさに人間の業を知った。あなたは何者にも生殺の権利を、既成された人権の盾で嬲り殺せるのです。

街はひとしきり、夕闇と言う血が抜かれるのを待っています。生きている人格が夜の夜叉達に覆い尽くされると、引っ掻き傷のような星々が海の夜空に這い寄ります。

瞬いた一瞬は、凝縮された時間の放射に過ぎません。ネオンも無い辺境の街では、通り過ぎるディーゼルの音しか聞こえないのです。

帳は静まり返りました。時と共に冷めた気配が、辺りを後ろめたくします。鍵をかける音、信号の点滅。赤、赤、赤。時折寝ぼけた神の声が、遠くの山から聞こえてきます。

私達は闇と生きている、でも暗闇や夕闇はとても優しい。理解出来る優しさだ。電光の瞬く、未練だらけの街。そこではどうだろうか。

人は行き交う、細胞とタンパク質と粘膜の混ぜご飯。音がする、足音だ。僕の脳裏を横切って行った波は、電子回路のように理路整然と人の海に埋もれた。

街路は瞬いている、電気の馬車はカボチャでは収まりきらない。引っ切り無しに雄と雌が遺伝子で歯軋りをする。見上げると空は無く、看板と静まった地の神が見下ろしてくる。

終わりの無いオルゴールは、歯車が錆びるまで回り続けるようだ。あんたにようはない、それが無秩序でありルールだった。

獣を見つけた、成人でも子供でもない獣を見つけた。改札口を潜ろうとしたが、暗黙の呼び鈴があるのか中々見つからない。

あの場所とは違うんだ、ここには秩序がある。行き交うまなこは血走り、言葉も無く獣に突き刺して行く。

小刻みに震える孤独が獣の背を撫でた。心配しなくて良い、みんな分かっている。あんただけが獣なんだ。見えてないんだ、皆んな知っている。

シンパシーの無い、無機質で陽気なアスファルトが足元で畏まっていた。控えめな馬車の嗎が耳の奥を震わせた。浮かび上がる錆のように、血流が燻っていた。

獣は知った、あの街とは違うのだと。そして学んだ、ここには理屈で是正された合理のうねりがあるのだと。誰もが足を止めない、見向きもしない。走馬は闇にいない。

獣はのけものだった。



最後までお読みいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?