見出し画像

【フェブラリーS予想】つながるもの、つながらないもの

なるべく毎日、同じがいい。

驚くほどのルーティン男がいま、毎日まったく違う日々を過ごす。なぜ、自分は同じ道を歩みたがるのか。不安定な日々のなか、それを考えてみた。これまで繰り返しの連続を求めたのは、安心感に依存していたからだろう。なにも考えず、アイディアをひねり出すことを切り捨て、体が動くままに染みついた動作を繰り返す「無」に安心する。流れ作業は大好物で、決まった時間に決まった場所へ行き、同じ電車に乗る、違和感なき世界は波長を変えることなく過ごせる。

しかし、自分が歩み出した道はそんなルーティンでは太刀打ちできないことを知り、波長を変えないことには生み出すことができないと気づく。困ったものだ。なぜ、そんな世界に来たのか。不安定が常、毎日がつながらないことを受け入れねばならない。なぜ、この世界に。これが私の心の底にあったものだったからだ。ルーティン生活を安心と安定の根拠としてきたが、実際にはそうではない世界に行ってみたいという願いもまた私のなかにはあったのだ。だが、ルーティン男にとって、世界を飛び移ることほど、恐ろしいことはなく、つま先で触れてみては、引っ込めるといった臆病丸出しな行いを繰り返した。フリーとは。自由とは。安心と安定を求めていては進めない。精神を安定させ、穏やかに過ごせはしない。常と揺れる心と乱れる波長を楽しみ、変化を常とできるかどうか。私は昔からルーティン男でありながら、どこかで、つながらない世界の綱渡りに羨望の念を抱いていた。どこまでも矛盾している存在。それが私なのだと最近、知るところとなった。

つながらない世界といえば、フェブラリーSもつながらないものが多い孤高のGⅠといえる。つながらないものをあげてみる。チャンピオンズC、東京大賞典、東海Sだ。

阪神ジャパンCダート時代からチャンピオンズC1~3着馬のフェブラリーSでの成績は【2-3-4-10】。チャンピオンズC(ジャパンCダート)全体だともう少し数字は上がるが、好走馬に絞って、この数字はつながりが薄いといえよう。2勝はエスポワールシチー、トランセンドの連勝。かなり古い記録であり、近年のトレンドではない。このうち、東京大賞典→フェブラリーSと進むと【0-0-1-3】。2012年ワンダーアキュート3着だけ。ルーティン男とは違うだろうが、時計の速い中距離を走り、地方のなかでも速い大井とはいえ、地方の深めのダートへ向かい、そこから高速トラックの東京へと転戦するのは不安定で、戸惑いがないわけではなかろう。私ならまったく対応できずに終わる。変化を厭わないフリーランスの達人クラスであっても、これだけ世界が変わっていきながら、最後に結果を残すのは簡単ではあるまい。つながらないものをつなげていく作業は人も馬も柔軟でなければいけない。そう、ウィルソンテソーロ、ドゥラエレーデはこれに挑む。逃げ差し自在のウィルソンテソーロ、一貫して番手を貫くドゥラエレーデ。柔軟なのはどちらだろうか。それともどちらも難しいのか。

近況最上位の2頭が難題に取り組むなら、ほかでも。そう考えるのは自然だが、そうなると、これがややこしい。正直、2頭を除くと、頼れる存在が見つからない。地方勢に託したくなるが、地方から東京がつながらないと決めたことに反する。イグナイターとて2頭と変わらない。フェブラリーSとのつながりはどこにあるのか。今年のメンバーを見渡し、使えるものを探した。

それが武蔵野Sだ。過去10年、武蔵野S1~3着馬は【3-2-2-11】。3着モーニン、2着ゴールドドリーム、2着レモンポップが翌年のフェブラリーSを勝った。やはり、ガラパゴス東京ダート1600mは同じコースしか受け入れない。今年、このデータに符合するのはタガノビューティー、レッドルゼル。勝った3頭は4、4、5歳でフェブラリーSを勝っているので、完全一致とは言えないが、2、3着には8歳インカンテーション(武蔵野S1着)、8歳エアスピネル(武蔵野S3着)がいる。インカンテーションは東京大賞典7着、エアスピネルはチャンピオンズC7着をはさみ、つながらない道をつなげた。これは2走前にあたる武蔵野Sがあったからだろう。高速ダート→中距離→高速ダートなら、最後に得意条件に戻って安心できるのではないか。タガノビューティーの根岸S大敗やレッドルゼルの直行はいくらか推理に不安を感じさせるが、上位がサウジに回り、トライアル勝ち馬不在の今年なら、このぐらいは大目にみよう。ウィルソンテソーロ、ドゥラエレーデ以下が挑む道よりは乗り切れる。

特にレッドルゼルは昨年2着馬であり、武蔵野S3着と年齢を重ね、距離を克服しつつある。川田将雅騎手不在は痛いが、安田隆行厩舎最後のGⅠで見せ場をつくってほしい。またタガノビューティーは根岸Sをひと叩きと割り切れば買えなくはない。この馬も若い頃は1400mベストだったが、距離適性が変わってきた。レッドルゼルには武蔵野Sで先着しており、スピード型が最後に苦しくなれば、出番は回ってくる。

レッドルゼル、タガノビューティーと似たパターンで挑み、除外対象でもルメール騎手を確保したオメガギネスが最有力。人気どころで買うなら、こっちだろう。

ワイド⑤-⑩⑫


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?