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【スプリンターズS予想】心からヒーローを歓迎できない男、人気馬に本命を打つ

むかし、夏競馬は得意とはいえなかった。そんな書き方をすると、じゃあ秋はよかったのかとなるが、そうでもない。今も昔も悶絶するのは週末のルーティン。別に夏だけが悪いんじゃない。あえてこんな書き出しにしたのは、最近、夏競馬の馬券がよく当たるからだ。年々、暑さに弱くなり、冬眠ならぬ夏眠モードのなか、馬券だけは調子がいい。必勝法はない。なんで調子がいいのか自分にもわからないからだ。自分がわからないものを人に教えるほど、皮の面は厚くはない。

さて、夏眠が醒められなくて困った。今週あたりはようやく汗が早めに引くようになったが、まだまだ湿った風が躊躇させる。グズグズしていると、スプリンターズSだという。いけない、まだグリーンチャンネルの十番勝負に応募していない。この秋の主役は…ドウデュースなんだろうか。テイエムオペラオーもゼンノロブロイも苦労した5歳の秋。休んだ期間があったとはいえ、5歳秋は緩やかに成績と活力が落ちる季節だ。長いこと競馬を続けていると、そんなことばかり考える。心からヒーローを歓迎できないのは、悪い癖だ。

それよりなによりスプリンターズSだ。香港からビクターザウィナーとムゲンがやってきて、昨年の覇者ママコチャも元気だ。春秋スプリントGⅠ制覇をかけるマッドクールもいる。サマーチャンピオンのサトノレーヴ、セントウルSで鬼気迫る末脚を披露したトウシンマカオはもう重賞4勝馬。GⅠが近づいては遠のくナムラクレア。年明け最大の上がり馬と目されたルガル。かなり豪華メンバーが夏の残り香が濃い中山に集う。

個人的に注目するのはピューロマジックとその鞍上だ。あえてGⅠで横山典弘騎手を配した意図はなんだろうか。現役騎手のなかでも屈指の手の内を読めない男が、快足ピューロマジックに跨り、はたしてどんな競馬をするのか。ちなみに横山典弘騎手はデビュー以来、芝1200mの重賞で逃げたのはわずか8回。確かにどちらかというと差しが多く、そんなに記憶がない。だが、この8回の成績は【4-1-1-2】勝率50.0%、複勝率75.0%ととんでもなかった。スプリンターズSでは2003年テンシノキセキ5着。そのほか馬券を外したのは1200mで行われていた1993年ダービー卿CTマンジュデンゴッド7着だけ。どちらも中山だ。中山では1992年東京テレビ賞3歳牝馬Sマザートウショウ、1997年フェアリーSレディステラと2勝をあげたが、どちらも今でいう2歳限定戦。古馬のレースでは好走がない。

だがそもそも、ピューロマジックは逃げるんだろうか。前走は逃げて13着大敗。正直、壁を感じた一戦だった。だからこそ、安田翔伍調教師は横山典弘騎手を呼んだ。つまり、この謎の解は控えるではなかろうか。高松宮記念で逃げて3着だったビクターザウィナーは日本では決して速くはない。春は上手く逃げさせてもらえて、スローに落とせたが、中山で同じ展開にはなるまい。だが、ピューロマジックに乗る日本のマジシャンが逃げないなら、話は別だ。ハイペース前提という予想はいささか安易な気もする。みんながハイと読むなら、その逆を行く。心からヒーローを歓迎できない男はいつだって裏街道を進むのみだ。

好位勢によるポジション争いとちょっい差し競馬なら、マッドクールで決まるだ。重馬場2戦2勝で道悪巧者とみられるが、昨年のスプリンターズSでは1.08.0で2着。週末の雨の影響が多少残る馬場なら、心配はいらない。そのスプリンターズSが3カ月の休み明け。高松宮記念も3カ月半の休養後の戴冠だった。典型的なポン駆けタイプで、春の香港から休んだここは必勝パターン。勝てば次走は軽視する。心からヒーローを歓迎できないので、みんなが持ちあげたら、もう買わない。ま、前売り段階で2番人気だから、そんなひねくれた予想でもない。歓迎しないと言いながら、人気だってこれだと思ったら買う。最近の好調の要因はここかもしれない。年を重ね、諦めの境地というかジタバタしなくなった気がする。抵抗できないときは無理筋に突っ込まない。この年になり、ようやく素直な自分を顔をもたげてきた。相変わらずの晩成である。人より成長が遅いことを晩成と表現できるのは、実にいいことだ。

◎⑦マッドクール
○ママコチャ
▲ナムラクレア
△トウシンマカオ
△モズメイメイ
△サトノレーヴ
謎ピューロマジックの鞍上


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