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【朝日杯FS予想】後悔こそ我が人生、展開待ちに魅かれる理由

今さらながら後悔することがある。人生は希望と後悔が交互にやってくるから仕方ない。一生、後悔だ。悔いても時は決して戻らないが、やり直せることもある。だったら、やり直したほうがいい。やらなければ、記憶は変わらず、悔恨を引きつづったままになる。

青春がない人生だった。正確には青春の時はあったわけだが、そこに浸かることを拒否した自分がいた。コンプレックスばかり意識するような自意識過剰な青春を過ごしたため、失敗を恐れ、一歩も前に進めなかった。どうでもいいプライドが邪魔し、金縛りに遭ったことぐらい、人は誰でも一度や二度はあるだろう。そんなプライドにはなんら価値がなく、自分への甘えのための言い訳に過ぎないことは、青春時代が過ぎて、相当の年月を経てから知ることになる。そして、そのとき自分は青春とはかけ離れたところに立っている。なぜ、あのとき、青春という無茶をしてこなかったのか。今さらながら、無茶をしたくなる自分がいる。もう遅いのか。まだ間に合うのか。そんな問答もまた自意識がさせていることに気づく。

サラブレッドの2歳終わりといえば、青春の入り口だ。これから先、クラシックという厳しい道のりこそが彼らの青春時代だ。青春は傷つき、打ちのめされながらも、一歩また一歩と大人への向かう道でもある。精一杯のエールを送り、少し羨望の眼差しで見つめるとしよう。

頭ひとつ抜けた者がいない青春は、ちょっとしたきっかけひとつで前へ抜け出せる。能力という抗いがたいものが存在しない競馬は、「青春は密だ」といった野球監督の言葉通り、一団で進み、誰が先に抜け出すのか、機をうかがう形になるだろう。青春は突出する自分を嫌う。まさに自意識というものが邪魔をする。「いや、お前が先に行け」「だったらお前が行けばいいだろ」ヒソヒソと囁く声が馬群で聞こえるかのようだ。

たぶん、外枠のシュトラウスはそんなけん制に耐えられないだろう。青春という箱の中に収まりきれない闘争心の持ち主ゆえ、これまでは無理やり閉じ込められてきた。だが、今回は抑えきれない。大外枠は闘争心を解放させるきっかけとなろう。シュトラウスの爆発はジャンタルマンタルの引き金を引き、ダノンマッキンリーのファイトを促す。前にかかれば、もう止められない。一度、前に進んだ青春を止める術などない。ゴールを目指すよりほか、方法はなかろう。若駒たちの奮闘に阪神の急坂が立ちはだかる。

青春サバイバルを勝ち抜くのはシュトラウスかジャンタルマンタルか。ダノンマッキンリーにはマイル戦の経験が足りない。シュトラウスがレースを動かせば、最後に微笑むのはナムラフッカーだろう。イメージを覆した父スワーヴリチャードに母の父ルーラーシップ、母系にはアイリッシュダンスの名があり、ハーツクライのひとつ上の姉アイリッシュピースがいる。父も母もアイリッシュダンスの血を引く異色の血脈だ。ハーツクライはこのコースでディープインパクト、ロードカナロアに次ぐ成績を上げており、ハーツクライより軽さを感じるスワーヴリチャードなら一発ある。

一軍の取りこぼしを狙う二軍、三軍に甘んじてきた自分にとって、祈りに似た展開待ちのスリルがたまらない。競馬は先行優位と頭では分かっていながら、なぜか追い込み馬に魅かれる理由がそこにある。

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