ジョーカーとして共に生きる
私は中村文則氏の著作を推理小説やミステリーだと思ったことはなかった。しかし、今回この読書感想文を書くために一言一句読み、深く考えたことで、そういったジャンルに当て嵌めようとすること自体が間違いなのだと気づいた。あえていうならば、これは純文学推理哲学書だ。
私は今回の作品を読んで、モノとモノの境界線は実は曖昧なのではないかと強く感じた。モノとは物質的な物ではなく、タロットカードとトランプ、マジックと占いとギャンブル、勝ちと負け、女と男、善と悪、生と死 サディズムとマゾヒズム