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りんごを丸ごと齧ってみる。 『がしゅっ!』と鳴った。 今度は半分に切って齧ってみる。 『しゃくっ』と鳴った。 最後に一口大に切って食べてみる。 口の中で『しゃりしゃり』と鳴った。 不思議だ。 鳴っているはずなのに、文字が耳の中に流れ込んでくる。 音が文字として聞こえるのは、とても不思議な感覚だ。 「まだ聞いたことのない音がたくさんあるんだろうな」 私は残ったりんごの皮を、『しょりしょり』とむきながら、心を躍らせた。
せんべいを手に取り、口を大きく開け一口。 『がりっ! ぼりぼりぼりぼり』と、耳に響くかのように音が鳴った。 いや、正確には『ぼりぼり』ではない。 もっと細かい音も鳴っている。 『じゃくじゃく』とか『がりがり』とか。 最初の一口も、 『がりっ!』と『ぼりんっ』が合わさったような音だった。 万人に伝えようとするならば、最初に書いた音が最有力候補になりそうだが。 『ばりばり』と聞こえる人もいれば、『ごりごり』と聞こえる人もいそうだ。 一度に色んな音が聞こえるなんて、なんて楽
ときどきむしょうに飲みたくなる。 あの口の中で『しゅわっ』『ぱちぱちっ』と弾ける魅惑の炭酸。 蓋を開けたときに『ぷしゅっ!』と鳴る音を聞くと、わくわくする。 耳を近づけると『しゅわしゅわ』と控えめに鳴っているのも、なんか良い。 グラスにそそいだとき『しゅわわわわ~』って氷と奏でる音も、なんか好き。 炭酸の音は、心が弾み出す感じがする。 え?私の一番好きな炭酸? あの赤いラベルの無糖炭酸!
『かたかた』『かたかた』 今日も部屋に無機質な音が響く。 よく聞くと私のキーボードは『かたかた』よりも『がたがた』と言った方がしっくりくるが。 文字で『がたがた』と書くと、大きな音に感じる。 本来なら小さめの『がたがた』なのだが。 想像しにくい。 机を思いきり揺らしている光景が浮かんでしまう。 相手に伝わるように書くと、実際の音とは少し変化する。 オノマトペ。 なかなかに奥が深い。
袋には「サクサクの」と書いてあるコーンチョコ。 実際に食べてみると 『ざしゅりゅうっ』『ざく』『もちょっもちょっ』 という音がする。 もう一度いおう。 『ざしゅりゅうっ』『ざく』『もちょっもちょっ』だ。 だけどコーンチョコの断面を見ると、とてもそんな音が鳴るとは想像できない。 どうしてかって? 隙間があるからだ。 見るからに『さくっさくっ』と鳴りそうな、細かな隙間があるのだ。 「今から『さくっさくっ』って鳴ります!よろしくお願いします!」 と主張してきそうな、隙間