触れられない距離と時間に不安を募らせる 1年前と何も変わらない ただ想うしか出来ない無力な自分に見切りをつける ありがとう 逃れられない日常を背負いながら 精一杯の想いをくれた君に 今あげられるものは一つだけ ※イラスト:イトノコ様
そばにいられたらいいのに そしたら黙って寄り添って そっと手を握って 体温預けあって 君に笑顔が戻るまで 離れたりしないのに 物理的な距離には抗えず 言葉を重ねるしかなくて でも重ねれば重ねるほど追い詰めてしまう気がするから そばにいる誰かに想いを託す どうか彼(彼女)を助けてください
もしもし? うん、もうお布団の中 ふふっ 今ね、声聞きたいなぁって思ってスマホ見てたの ーーほんと?わたしの気持ち、なんでも分かるの? じゃあ今は何考えてると思う? あ、正解! あたたかくて深くてやさしいあなたの声、大好き でもね、声だけじゃなくて、サラサラの髪もゴツゴツした手も、あなたの匂いも全部好き だから……早く会いたい ※ 電話越しにききたい140字
泣き疲れてお兄ちゃんの胸で寝落ちる夜 体温に包まれて凍てついた気持ちが溶けていく ーーそんな心地良さとは別の密かな想いが芽生えたのはいつからだったかな もうわたしは小さな女の子じゃない お兄ちゃんに抱きしめられたくて寝たフリをするあざとい女 「誰にも渡さない」 ※イラスト:イトノコ様
傷ついたお前が俺に抱きついて泣きながら寝落ちるのは 小さい頃からお決まりのパターン その役目はまだ俺なんだと安心するこの気持ちが シスコン兄の性なのか男としての独占欲なのか 俺自身にも分からないけど お前に言いたいことは一つだけ 「他の男の前で泣くの禁止」 ※イラスト:イトノコ様
一緒に歯磨きするの、楽しいね ーーもう!笑わないでよ 同じ時に同じことしてると、離れてても一緒にいるみたいでしょ? 会いたい、触れたいって思ってたら切なくなるだけだから 今のふたりができること、しよ たとえば? うーん たとえば今夜は通話を切らないで 朝までずっとそばにいてよ
僕は君さえ笑ってくれてたらそれでいいんだ たとえ一緒にいるのが僕じゃなくても 君が笑顔ならいいんだ 愛されたがりでわがままな僕が そんな風に想えるなんて自分でも驚いているけど ーー君の笑顔を守りたい 僕に愛するということを教えてくれた君が 永遠に幸せでありますように
信じてたのに 貴方だけはわたしの味方だって なのにどうして? どうしてこれ以上不安にさせるようなことするの? お前のこと大事だよって言いながらキスしたくせに お前は俺の特別だよって囁きながら抱いたくせに 大嫌い もう信じない だけどまだ…愛してる、あなただけ
どうして僕のいうことが聞けないの? 他の男と話すなって言ったよね 悪いのは相手を勘違いさせた無自覚な君だよ 分からないなら仕方ない 誓いの指輪がわりにこの首枷をはめてあげる これでもう君の細い声も、 小刻みに震えるしなやかな身体も、恐怖に歪む顔も全部 ーー僕だけのもの
デートのために洗った車はもう雨で台無しだけど 彦星と違って俺はちゃんと逢いに行くから心配すんな 短冊に書く願い事は… そうだな 織姫と彦星が早く泣き止んで 雨がこれ以上ひどくなりませんように、で頼む ふふっ、大丈夫、もうすぐ着くから 泣かずに待ってろよ? ※7月7日に降る雨は2人の悲しみの涙で「催涙雨」、前日の雨は彦星が織姫に会うために牛車を洗う「洗車雨」
貴方が選んだショートカクテル 見た目のかわいらしさとは裏腹に 口の中から喉の奥まで焼きつくし わたしの中に火をつけた 誰にも言えないその恋は 秘密という刺激を燃料にして燃え続けたあと 疲弊して消えていく 貴方と貴方の好きなロングヘアに別れを告げて 新しい恋の予感に乾杯 ※イラスト 小曽根様
時間だね 全然平気! っていうか遠距離の恋人が 七夕にサプライズで会いに来てくれたなんて 幸せすぎてーー 織姫と彦星なんて一年も待たなきゃいけないんだよ? だから一か月なんてあっという間 それまで毎日、大好きをいっぱい送るから…ね? ※『あなたに会いたくなる夜~七夕に寄せて』のその後のエピソードです
そろそろ帰らないと ごめんな、また一か月以上さみしい思いさせる え? そりゃまあ織姫と彦星は一年も会えないけど… お前比べるとこ、そこでいいの? ふふっ、さんきゅ お前のそういうとこ、すき だから逢えない時もずっと お前のこと、考えちゃうんだよな
ねえ、兄さん 今日も上手でしょ? 兄さんの隣でほほ笑むその女性に 黒い感情を秘めて 無邪気な弟を演じる快感 僕たちの絆を引き裂こうとするものを 排除するのはセオリー だから… もう一度僕だけのものになるそれほど遠くない未来に ささやかな乾杯を