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万華鏡

 幼い頃、千代紙の貼られた美しい筒を覗けば、これまた美しい景色が広がるのが不思議で仕方がなかった。

 ビーズとリリアンの紐を細かく切ったものがはいってるだけだというのに美しく、回せばくるくらと世界が変わる。
 ほんの一瞬持っている手が揺れただけで二度と見れない景色になったりする。

 一瞬の模様にもう一度巡り合うには1/2000000の確率だという、そんなの可能性としては0に限りなく近い、けれどそもそも写真に撮っているならまだしもその模様をちゃんと覚えている事はないので出会えくても問題はないのだが、それでも二度と会えない模様と思うと愛しくなったりする。

 オイル式の万華鏡も覗いたことがある、あれもビーズのとはまた違う趣があって大変美しいものだった。

 嫌な事があったら、万華鏡を覗いてそのままその中に吸い込まれたいいのに。

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