エッセイ『ツバメの宇宙』
32歳の時、突然絵を描き始めた。
私自身理由なんて分からない。ただ目の前に買ったばかりハガキサイズのスケッチブックと青系のペンがあった。
『最初は遊びだったんです。』と警察24時の逮捕された人みたいな出来心。
言わば、『魔が差した』ようなもんである。
私はそれまで私に絵を描く事を禁じていたようにも思う。
それは絵が苦手だと言う自意識があったから。
人と同じ様にとか、目の前の物を描写する事が出来ない。
美術教師には何度も絵を直されたし、母親には創るという行為自体を否定されていた