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異形の茶会に呼ばれてきた

浅野暢晴さんの作品トリックスター(trickster)シリーズの一人、蓮ックスター主催の茶会に呼ばれたので行ってきました。

ちょっと何言ってるか分からないと思うんですけど、浅野さんの彫刻作品と差し向かいでお茶を飲むという企画展?なのです。
待合兼ギャラリー部分のみ撮影可、茶室?は撮影どころかすべての荷物持ち込み不可なので、頑張って文章でお伝えしてみたいと思います。

私の予約は17:00〜17:30、部屋の支度などがあるので茶会の時間はその中の15分と聞いていて、ちょっと短い?と思っていた。

かなり早めに着いたのでしばらく外の椅子で待ってから呼ばれてギャラリー1階へ。受付にスマホや時計を含む荷物すべてを預けてLEDランタンを手に2階の茶室(?)へ。あとから気がついたけどランタンにもトリックスターが付いてた。

部屋の中は2畳ほどで、そのうちの1畳に蓮ックスターが座っている。来客(人間)用スペースはもう半分の1畳で、蓮ックスターと客を仕切るようにちゃぶ台が置かれ、壁のように無数の糸が張られている。来客スペースには正座用椅子が置かれていた。
ギャラリーオーナーがお茶と茶菓子を持ってきてくれて、扉を閉められ茶会開始。

とくに作法とかは決まってなくて、とりあえず蓮ックスターに軽く挨拶してお茶と茶菓子をいただく。茶菓子がひんやりしていてびっくりした。
よく見ると茶器も菓子皿も、黒文字も全部トリックスターになっている。部屋に照明はなく、窓明かりとランタンのみ。
私は主の蓮ックスターに話かけてみた。自分の悩みを打ち明けたように思う。だが話のネタはすぐに尽きてしまい、私は場に慣れてきたのもあって退屈し始めた。
そこでようやく主である蓮ックスターの他にもトリックスターがいることに気づく。仕切られた2畳のこちら側にはトリックスターの掛け軸などもかけられていた。なんとなく天井を見上げると、引っ掛けシーリングだけ残されていて、そもそも照明器具がついていなかった。

気持ちが他所に向かってしまっているのに気づき、座り直して蓮ックスターをまじまじと見る。「ちょっと失礼します」と声をかけてからお顔をランタンで照らしたりする。蓮ックスターも茶碗を持っていて、中に茶が入っていて、それを味見してみたいとすごく思ったが、食べ物でない可能性もあるのでやめておいた。

そういえば展示に触るなとかそういうことは一切言われなかった。蓮ックスターは蓮の実がモチーフなので、顔にたくさん穴が空いていて、穴の中に小さなトリックスターが詰まっている。
取れないかな?と小さなトリックスターを引っ張ってみる。動くがすっぽ抜けたりはしないようだ。たくさん詰まっているのであれこれ触ってみると動かない子もいる。
ひと通り触ると満足して、この部屋にいることが当たり前のような感覚になってきた。私はくつろぎながら他のトリックスターを眺めたり、暗がりに目をこらしたりした。足はとっくに崩して正座椅子に腰掛けるようにして体育座りをしていた。静かだった。
そのあたりでギャラリーオーナーが現れ時間を告げた。15分、短いようでいて長くてやっぱり短かった。夢を見ているような不思議な時間だった。

1階に戻ってから展示作品を撮影したり、茶会限定のトリックスター購入権の説明を聞いたり(香炉ックスター欲しかった!)、ギャラリーオーナーに浅野さんについてお伺いしたりした。

最後に預けていた荷物と茶会の参加証明をもらって退室。外は大雨だった。

茶会参加の証明書

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