キラキラカレシ マキオ2|口裏を合わせろと言われたら合わせる?合わせない
魔がさす瞬間
ほんの一瞬、誰にでも魔が差す瞬間というのはある。
あれから半年ほど。
ちょうど交際していた彼氏とお別れした直後だった。
わたしの心にはぽっかり穴があいていた。
そこへまたマキオから連絡が入ったのだ。
「仕事辞めて2か月間自転車の旅をしたんです。沖縄まで行ったんですよ。旅の話、聞きにきませんか?」
同居人が去った淋しさで落ち込んでいたときだった。
わたしは魔が差したように誘いに乗ってしまった。
再々会
マキオは地元のバーでアルバイトしていた。
友人と2人で彼の働く店を訪ね、旅の話をひととおり聞いた。
それから、
旅のために仕事を辞めたの?と尋ねてみた。
憧れてた仕事だったよね?と。
「田舎も楽しかったけど・・・自転車旅行も夢だったから。今しかないと思って仕事辞めちゃいました」
わたしは揺れた。
我慢しない、やめたかったらやめる、周りからの期待なんか気にしない。その考え方にわたしの頭はグラグラ揺さぶられた。
交際
泥酔状態でいろいろ吐き散らかしながら歩いてたら道端にコンビニのブリトーが落ちてたので拾って持ち帰り、レンジでチン!して食べた。
たとえて言うならそんな感じだ。
わたしたちのつき合いはそんなノリではじまった。
マキオは夜中心の生活。
わたしは9時‐5時労働。
会うのは真夜中過ぎ。
マキオが仕事帰りにわたしの家に来る。
休日にもごくたまに会うことはあった。
事前に日程調整などない。そんな関係だった。
彼?彼女?
なんとなく新しいことに挑戦したくてわたしはスノーボードを始めた。
するとめずらしくマキオからの誘いがあった。
そうして、マキオの友達グループと一緒に山へ行ったときのこと。
行きの車中で彼はわたしにこう切り出した。
「友達にあとで紹介するよ。いい奴ばっかりだから。あとさ、オレとキミの関係だけど・・・」
うんうん!なになに!(だよね!まだ彼氏彼女って言葉で確認してなかったもんね!)
「あのさ、親戚ってことにしておこうよ。」
え?
「従妹とか。」
え??
なんて?
従妹?
なんで?
言葉がみつからないでいると、マキオはこう続ける。
「だってさ、あいつらに根掘り葉掘り聞かれるのとかオレそういうの苦手なの。親戚ってことにしとけば誰も何も言わないじゃん?」
あっ・・・・そう。
そうなんだOK。
(OKでいいのかこれは?)
そうしてその日は一日中、「アイツの従妹なの~?」「美人過ぎない?似てないね」などと興味津々で群がる彼の友人らに、わたしはこう返し続けるハメになった。
あ、そうらしいです。
親戚ですね1~2か月前からの。
その事はついさっきマキオさんから聞いたばかりで・・・と。
ほんの一瞬魔が差して、怒涛のような彼のカオスに巻き込まれはじめた。
この後の展開をわたしはまだ予想できていなかった。
*モラハラ・ポイント*
人間関係に境目がない
どうでもいいウソに他人を巻き込む
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?